2014 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノ質量測定のための、水素ガスからの二光子対超放射の制御方法開発
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26887026
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
増田 孝彦 岡山大学, 極限量子研究コア, 助教 (90733543)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | ニュートリノ / レーザー分光 / 非線形光学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題ではマクロコヒーレント増幅機構の研究にパラ水素ガス・コヒーレンス生成用532 nmレーザー及び684 nmレーザー(以下ドライビングレーザー)・トリガー用中赤外パルスレーザー(以下、トリガレーザー)を用いる。このうちパラ水素ガス・ドライビングレーザーは既存設備を使用するため、トリガレーザーを開発すれば研究が可能となる。今年度は二光子対超放射を誘導するためのトリガレーザーの開発を行った。 当初の実験セットアップでは、トリガレーザーのポンプ光源に、ドライビングレーザーと同じNd:YAGレーザーを使用し、非線形光学結晶を用いてPPLN+LBO+PPLNの3段階の波長変換を行い、そのシード光に865nm 及び1068nmの自作外部共振器型CWレーザーを用いた。約20uJの中赤外光の発生に成功したが、一方で安定性に問題があることが分かり、より安定性を高めるための改良を行った。新しいセットアップではトリガレーザーのポンプ光源に、他と独立のNd:YAGレーザーを用意し、非線形光学結晶をPPLN+LBO+KTAの組に交換、シード光には864nmの自作外部共振器型CWレーザーを用いた。前回のセットアップでの不安定性の主要因は開口部が0.5×0.5mmしかないPPLNを2つ使用していたことであったため、開口部4×4mmのバルクのKTAを用いることにより安定性の改善を見込んだ。またPPLNは波長変換効率が高過ぎ、ポンプ光をあまり導入できないという問題もあったため、バルクのKTAで強いポンプ光を入れられるようにすることで高出力化も見込んだ。結果、トリガレーザー出力50uJを超え、一週間以上にわたり調整不要の安定なトリガレーザーの開発に成功した。 今年度はさらにトリガレーザーを用いた実験を開始した。二光子対超放射の誘導に成功し、プレリミナリな結果を日本物理学会にて口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画では、今年度トリガレーザーの開発を行うことを目標としていたため、計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
トリガレーザーの開発が完了したため、これからは実際にパラ水素ガスを用いて二光子対超放射の定量評価を行っていく。実験データを理解し、将来のニュートリノ質量分光につなげるためには数値シミュレーションとの比較が重要である。Maxwell-Bloch方程式を用いた数値シミュレーションを行う予定である。
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Research Products
(4 results)