2014 Fiscal Year Annual Research Report
非線形放物型方程式に内在する非自己相似的な特異性構造の解明
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26887027
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
関 行宏 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 助教 (50728970)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | type II 爆発 / 特異性解析 / 非線形放物型方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はいわゆるソボレフ優臨界指数をもつ半線形熱方程式、及び球面に値をとる調和写像流方程式に対して, これまで知られていなかったタイプの type II 爆発解の構成に取り組んだ。べき乗型の非線形項をもつ半線形熱方程式は藤田型方程式とも呼ばれ、古く1960年代から研究がなされてきた。見掛け上シンプルな形のこの方程式が、実は多彩な数学的構造をもつことは多くの研究者らによって明らかにされており、しかも他の多くの非線形問題が類似の構造を持つことが経験上知られている。本研究課題における非自己相似的特異性はその類似性が最も反映される現象の一つであり、type II爆発解はその現象を具体的に表現するものである。
本研究のテーマは既存の結果では十分に明らかにされていなかったタイプの type II 爆発解を構成することが第一の目標である。計画当初は非線形項のべきがある特別な値に一致している場合の研究を想定していたが、その計画については現段階では接合漸近展開の意味での形式解の構成まで到達した。今後はその形式解の性質を満たす真の解の存在証明にとりかかる予定である。当初はここまでを1年目に行う予定であったが、その研究中に上記のものとは異なる指数に対して予想外の(だが関連の深い)結果が導かれることが分かった。それは本計画における研究手法をより精密にした議論で導出される。そのため現段階で集中的に研究を行うことが適当であると考え、後続の予定と差し替え、先行して研究を行った。その結果は現在論文にまとめ、関連する専門雑誌に投稿中である。
調和写像流方程式に対してはほぼ計画通りに研究が進んでいる。こちらについては Pawel Bienat 氏(ボン大学)との共同で進めており、昨年度の研究打ち合わせで大きく進展した。現在これまで得られた成果を現在論文にまとめ、専門雑誌へ投稿するための準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の最も重要な部分である接合漸近展開法による形式解の構成は予定通り達成された。それに加え、藤田型方程式に対しては、計画段階では予期していなかった別の臨界指数に関する結果を本研究計画の手法を精密化することによって導くことができ、より特異性構造の理解が深まった。また、それによって関連する研究テーマが広まり、今後の研究方針に大きな影響があった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の第一段階で予想外の発展を得たが、予定した解の構成については完全な証明には至らなかった。このことを踏まえ、計画を一部修正して今後は第一段階での解の完全な構成に重点を置く。それに加え、調和写像流に対する関連する研究を積極的に進めて行く。さらに第二段階の計画を並行して進めてゆく。そのため、国内外の専門家と連絡をとり、必要な研究打ち合わせを行う。
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