2014 Fiscal Year Annual Research Report
腹足類の這行運動機構における摩擦制御論と運動様式の分岐現象に関する数理的解析
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26887038
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
岩本 真裕子 明治大学, 総合数理学部, 特任講師 (80738641)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 生物の運動 / 分岐解析 / 数理モデル / 腹足類 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物の運動メカニズムを明らかにすることは理学的にも工学的にも重要な課題であり、最も単純な運動様式である這って動く(這行)生物に焦点を当てることで、その他の運動様式との共通機構を見出すことが期待される。先行研究において、カタツムリなどの腹足類の這行では、筋収縮と粘液の相互作用により運動が実現していることを数理モデルから明らかにした。本研究は、その数理モデルの数値解析により示唆された2つの運動様式に関する分岐現象に着目し、モデルの数学的な解析により粘液による運動機構の理解を深めるとともに、多様な運動パターンを持つ腹足類の摩擦制御メカニズムについて解明することを目指している。本年は、提唱した空間離散系の数理モデルについて、数値実験により分岐現象の分類を行い、また詳細な分岐解析を行うための手法を検証した。モデルの自由度を減らした系を考え、運動が実現する条件について数学的な解析と数値実験を行った。分岐現象が見られるパラメータを特定し、さらに数学的な分岐解析を行うために、モデルの連続化を行った。また、今後のモデル改良に向けて、モノアラガイを用いた運動実験を行い、環境の違いによる摩擦制御の変化について考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究手法として分岐解析ソフトAUTOによる解析を計画していたが、提案したモデルのままでは解析ができないことが判明した。そこで、数値解析による解析に切り替えて分岐現象が見られるパラメータを特定すると共に、AUTOによる詳細な解析のための準備としてモデルの連続化を行った。また、研究の目的である摩擦制御理論の確立を視野に入れ、モデル改良のためにモノアラガイを用いた行動実験も行った。予定より遅れているが、数学的な解析に向けた準備を進めている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
数値実験結果から得られた数理モデルの分岐現象についてまとめるとともに、分岐現象が見られたパラメータを吟味し、パラメータ間の関係性について調べる。また、改良して得られた連続モデルについてAUTOを用いた解析を行う予定である。
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