2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26887041
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
坂田 繁洋 早稲田大学, 付置研究所, 助手 (30732937)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | Poisson積分 / 体 / 凸性 / バランス法則 / ホットスポット |
Outline of Annual Research Achievements |
n+1次元ユークリッド空間の上半空間におけるPoisson積分を、第n+1座標を固定して、n変数関数とみて、その形状を考察した。特に、境界値を体(有界な開集合の閉包)の定義関数の場合に、臨界点の一意性(凸性)と臨界点の第n+1座標に関する不変性を考察した。 Poisson積分の臨界点の一意性に対して、本研究では、「境界値を定める体が凸ならば、第n+1座標に依らず、Poisson積分の臨界点は一意に定まるか?」という問題を考察し、肯定的な解決に成功した。本研究を開始する以前には「境界値を定める体が凸とは限らない場合に、第n+1座標が十分大きければ、Poisson積分の臨界点は一意に定まる」や「境界値を定める体がある条件をみたす凸回転体ならば、第n+1座標に依らず、Poisson積分の臨界点は一意に定まる」という事柄が明らかになっていた。したがって、本研究の成果はPoisson積分の形状に関する研究に進展を与えたといえる。より詳しく、境界値を定める体が凸ならば、Poisson積分の逆数が(全空間で)狭義凸になることを示した。 Poisson積分の臨界点の第n+1座標に関する不変性に対して、本研究では、「任意の第n+1座標に対して、Poisson積分の臨界点が原点であるための必要十分条件を求めよ」とい問題を考察し、その解がMagnanini-Sakaguchiのバランス法則であることを示した。すなわち、任意の第n+1座標に対して、Poisson積分の臨界点が原点であるための必要十分条件は、境界値を定める体と原点を中心とする任意の半径の球との共通部分の重心が原点であることを示した。この成果により、「原点が時刻に関して不変な熱方程式の初期値問題の空間臨界点であること」と「原点が第n+1座標に関して不変なPoisson積分の臨界点であること」が同値であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、n+1次元ユークリッド空間の上半空間におけるPoisson積分を、第n+1座標を固定して、n変数関数とみて、その臨界点(または最大点)の振る舞いに関して、(2年間で)解決を試みる問題を4題提示した。そのうちの2つを(1年間で)肯定的に解決することができた。また、3つ目の問題は、現在までに解決した問題の結果から導かれることが大いに期待できる。 時間経過と解決すべき問題の残量を鑑みて、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年4月から11月までは、自身の知る範囲で参考になると期待される文献の理解を深め、その文献の問題解決方策を修正することで、問題解決を図る。また、関連する研究集会に参加し、有益な情報収集を行うことで、問題解決を円滑に行えるような準備を行う。 平成27年11月から平成28年3月までは、収集した情報を元に、問題解決を図る。また、平成26年度の研究活動で非常に有益であった、フィレンツェへの渡航をこの期間に行う。
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