2014 Fiscal Year Annual Research Report
表現論やグレブナー基底の理論からのアプローチによる代数的符号理論の問題の研究
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26887043
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
中島 規博 豊田工業大学, 工学部, 研究員 (90732115)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 代数的符号理論 / 表現論 / 誤り訂正符号 / グレブナー基底 / 超平面配置 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究では射影Reed-Muller(RM)符号の復号法の構成と性能評価を与えた。本復号法に関連して、平成26年8月の内定日以前に計算した低次元の具体例を、内定日以降に一般次元の射影空間に関する射影RM符号の復号法へと拡張した。また、本復号法における誤り訂正が可能なシンボルビット数の決定、計算量の導出と既存復号法の計算量との比較、復号誤り率(復号結果とオリジナルメッセージが一致しない現象の生起確率)の評価も内定日以降に行った。 本復号法の構成の鍵は、射影空間をアフィン空間の和集合とみなして、各アフィン空間に対応するRM符号のシンドロームを得ることである。各アフィン空間に対応するRM符号の復号には、グレブナー基底の理論と離散フーリエ変換による(アフィン多様体符号に対する)既存復号法を適用した。本研究は、プレプリントとしてまとめて学術論文誌に投稿中である。 平成26年度の後半には、アフィン多様体符号に対する復号法の計算量を減らす研究に取り組んだ。ここで研究したアフィン多様体符号の復号法は、上記の射影RM符号の復号にも使用した復号法である。本研究におけるアフィン多様体符号の復号法は、適応する符号によっては、離散フーリエ変換を施す範囲を狭めても誤り訂正能力に影響がなく、計算量のみを減らすことが可能である。本研究は「エルミート曲線符号などの具体的符号にどのように適用するか」を含めて、引き続き平成27年度に研究を進める。 また、一般化準巡回符号符号探索の研究については、研究室のメンバーから研究を引き継ぎ、研究を始める準備をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、次の二つを当初の目的とした。(A)アフィン多様体符号を射影化した符号(射影多様体符号と呼ぶ)の復号法の構成、(B)一般化準巡回符号の探索という視点からのSloaneの未解決問題への挑戦である。 (A)に関して、研究実績に述べたように一般次元の射影空間に対する射影RM符号の復号法が得られ、計算量や誤り訂正能力の理論的な評価も加えることができた。また、研究を進める過程でアフィン多様体符号の復号法に関する新たな進展があったため、非常に順調に研究が進んでいると評価できる。 一方で(B)に関しては、所属研究室のメンバーから研究を引き継ぎ、今後本格的に研究に取り組む予定である。 (B)では当初の計画より研究の遅れを感じているが、(A)では当初の計画通りに研究が進んでいる。また新たな課題も見つけることができたため、全体として「(2)おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も同様に、共同研究者である松井一氏と、アフィン多様体符号・射影多様体符号の復号法の研究を進める予定である。特に、「現在までの達成度」に記入したアフィン多様体符号の復号法に関する新たな進展は、近い将来にプレプリントとしてまとめて学術論文誌への投稿を目標としている。また射影多様体符号の復号法では、これまでとは違う方法で射影空間をアフィン分解した場合に、同様に復号法の構成が可能であるかを議論している。構成が可能である場合には、昨年度得た射影RM符号の復号法と誤り訂正数・計算量・復号誤り率を比較し、それぞれの復号法のメリット・デメリットを明らかにすることを目指す。さらに、今後は本研究の量子化も視野に入れる。 また今年度の研究では、上に述べた復号法の構成に関する研究に加えて、一般化準巡回符号の探索と拡張Hamming重み多項式に着手する予定である。一般化準巡回符号の探索では、まず引き継いだ計算プログラムの改良を図る。次に、目立った進展がない場合には、Sloane問題でよく使われる符号の自己同型群に関する理論を取り入れて研究を進める。
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Remarks |
(1)は所属研究室のwebページであり、(2)は個人のwebページである。
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Research Products
(8 results)