2014 Fiscal Year Annual Research Report
数値的観測的アプローチによる太陽活動領域・フレア発生機構の研究
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26887046
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
鳥海 森 国立天文台, 太陽天体プラズマ研究部, 助教 (30738290)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 太陽物理学 / 活動領域 / 黒点 / 磁気流体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である平成26年度は、太陽の磁束輸送過程における重要な1プロセスである「活動領域」の形成について、主に観測的研究を行った。 活動領域の主要構成要素である黒点には、その形成段階において「ライトブリッジ」と呼ばれる磁場構造が出現することが知られている。ライトブリッジには小規模爆発やジェット噴出といった活動現象が付随することが知られているため、そのメカニズム解明は活動領域・黒点の形成過程を理解するために重要であるだけでなく、太陽表面に見られる種々の活動現象の発生要因を探る上でも手がかりとなる磁場構造である。 そこで本研究ではライトブリッジに着目し、日本の太陽観測衛星「ひので」を始めとする多様な衛星観測データを解析した。その結果、ライトブリッジにおいて観測される小規模爆発現象やジェット噴出現象は、ライトブリッジの出現時における磁場と対流との複雑な相互作用が駆動源となっていることが明らかになった。さらに、平成26年12月には米国のロッキードマーチン太陽天体物理学研究所に滞在し、現地の研究者と共同で磁気流体力学シミュレーション研究を行った。その結果、ライトブリッジは、複数の小規模な磁気要素の中間に対流が生じ、磁束を下方から輸送することで形成されることが明らかになった。このように、ライトブリッジの詳細な磁場構造が明らかになり、観測結果を理論的に説明することが可能となった。本研究の意義は、磁場と対流の相互作用が太陽の活動現象に重要な役割を担っていることを観測と理論の両面から解明した点にある。本研究の成果は、2本の英文査読論文として公表予定であるほか、国際・国内学会において報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に行った活動領域形成過程の観測的研究に関しては、2件の論文が公表予定であり、順調に計画が遂行されていると言える。一方、爆発的エネルギー解放現象である太陽フレアを生じる活発な活動領域に関する数値シミュレーション研究は、現在計画が進んでいる途中である。以上のことから、本研究課題は「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度である平成27年度には、研究代表者がこれまでに行ってきたフレア活動領域の形成シミュレーションを発展させた研究を行う。従来のシミュレーションでは、太陽表面に出現する磁場が「四重極型」と呼ばれる構造を持つ活動領域を主に扱ってきた。そこで、今後の研究では、さまざまな条件でシミュレーションを行うことで、「双極型」と呼ばれる構造などを含むより一般的なフレア活動領域の形成について、研究を行う。これにより、当初の研究計画で目標のひとつとしていたフレア活動領域の形成条件の定性的・定量的な解明が達成される。
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Research Products
(10 results)