2014 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学的自在スピン・電荷制御による単一分子磁性変換素子の開発
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26888017
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
石川 立太 福岡大学, 理学部, 助教 (00736556)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 電気化学 / 酸化還元活性配位子 / 外場応答性 / 多重物性 / 分子磁性 / 単分子磁石 / 単一次元鎖磁石 |
Outline of Annual Research Achievements |
多段階酸化還元特性を有するアニル酸誘導体の一つであるクロラニル酸を架橋配位子として用いた数種類の希土類二核錯体の合成に成功した。単結晶X線構造解析の結果から、これらの二核錯体はすべて同構造であることが示された。特に、金属イオンにDy3+イオンを用いた場合、直流磁場下で交流磁化率を測定すると遅い磁化緩和が観測されることから単分子磁石であることが明らかとなった。また、サイクリックボルタンメトリーの測定から、いずれの錯体においても1電子の準可逆的酸化還元波が得られた。希土類金属イオンが比較的酸化還元不活性であることを考慮すると、架橋配位子であるクロラニル酸部位由来の1電子酸化還元波であると考えられる。このことはこの単分子磁石が外場として電気信号 (酸化還元) により異なる基底スピン状態に可逆的に変化させることが可能であることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度の計画に挙げた項目 (1. 酸化還元活性能有する孤立系多核錯体の合成)、及び (2. 酸化還元活性能を有する一次元鎖状錯体の合成) については、該当する化合物の合成に成功したことで目的を達成した。特に、酸化還元活性能有する孤立系多核錯体は、単分子磁石として振舞うことを明らかとし、その研究成果の一部は、学会発表において報告した (錯体化学第64回討論会 2015及び、日本化学会第95春季年会 2015)。引き続き、一次元鎖状錯体の詳細な磁気的性質の調査と単分子デバイスとして確立させるため、任意基板状に両化合物 (孤立系二核錯体及び一次元鎖状錯体) を集積させる手法を開発する。
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Strategy for Future Research Activity |
有機合成的に新規な酸化還元活性配位子を多く合成し、これらの多核及び、一次元鎖状錯体の系統的な構築を展開していく。より多くの種類の化合物を系統的にアプローチすることで、単分子デバイスを構築する際にデバイス性能の客観的洞察が行えることからより高性能なデバイス作製を目指せると期待される。
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Research Products
(4 results)