2014 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ透明導電膜を用いた有機薄膜太陽電池の開発
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26888023
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
周 英 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 研究員 (80738071)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 透明導電膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、カーボンナノチューブ(CNT)膜を透明電極材料として開発を推進することで、配向・結晶性を制御したフレキシブル有機薄膜太陽電池の開発を目的とする。CNT導電膜の導電性を高めるために、よく用いられている硝酸ドーピング法は、耐久性が課題になっていた。本年度は、CNT透明導電膜の実用化にあたり障害となっていた導電性の長期安定性を飛躍的に向上させることができた。CNTに硝酸をドーピングするかわりに、ヨウ化銅などの金属ハロゲン化物の薄膜を真空蒸着法でCNT薄膜の上、または下に作製した。これに数100ミリ秒のパルス幅の光を照射して薄膜の温度を急激に上昇・降下させることによって、金属ハロゲン化物を薄膜内で移動させ、導電性薄膜を作製した。eDIPS法を用いて作製したCNTを用いることで、透過率85 %(基材の透過率を100%とした際の、波長550 nmでの相対値)に対してシート抵抗60 Ω/□という、CNT透明導電膜として世界最高レベルの透明性と導電性を示した。さらに、室温、大気中で放置した際の導電性の経時変化を測定すると、硝酸でドーピングした従来のCNT透明導電膜では、作製直後に急激なシート抵抗の上昇がみられ、その後も徐々に値が上昇するが、今回開発した透明導電膜では作製直後のシート抵抗の値を長期間保持することがわかった。これは、金属ハロゲン化物などのナノ粒子は大気にさらしても揮発しないため、長期間安定に性能を維持することができるためであり、これまでCNTやグラフェンを用いた透明導電膜の実用化の障害となっていた、導電性の長期安定性を改善することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新しいドーピング技術を開発した。CNT透明導電膜として世界最高レベルの透明性と導電性を得られ、CNT透明導電膜の実用化にあたり障害となっていた導電性の長期安定性を飛躍的に向上させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度開発したドーピング技術は真空蒸着法を用いているが、今後は全工程を塗布で製造可能な技術を開発する。 また、CNTの分散剤として絶縁性のポリマーを用い、製膜の後に除去するための工程にはコストがかかる。今後は無機半導体とCNTの混合インクを開発し、CNT透明導電膜のさらなる低コストと高性能のため製造技術を検討する。 そしてフレキシブル太陽電池を試作する。
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Remarks |
研究成果は、プレスリリース発表を行った。
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