2014 Fiscal Year Annual Research Report
地下温暖化が温室効果ガスの生成・消失に及ぼす影響の定量的評価
Project/Area Number |
26889015
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
斎藤 健志 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (30735668)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 地下温暖化 / 温室効果ガス / 定量的評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、二酸化炭素やメタンなど温室効果ガスの生成・消失に、地下温度上昇が与える影響を定量的に評価することを目的としている。地下に原位置で熱負荷を与え、温度を強制的に上昇させた地点と、ほとんど熱の影響を受けていない隣接する地点で、温室効果ガスの地表面放出量ならびに土壌内ガス濃度分布を定期的にモニタリングする。 本年度は、温室効果ガスの地表面放出量および土壌内ガス濃度分布を観測するための機材類を設計・作成し、その導入作業を進めてきた。また同時に、一部それらの機材類を用い、予備的な観測も継続的に実施してきた。具体的には、原位置における熱負荷試験を開始する前に、自然状態でのモニタリングに取り組んだ。 地表面から放出される土壌ガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフ(GC-TCD/FID)で測定したところ、メタンはほとんど検出されなかった。一方で、二酸化炭素は、0.11~3.99%の範囲で検出された。また、深度約90 cmの地点に、土壌内ガス採取用機材を設置し、土壌内ガスをGC-TCD/FIDで定量した。土壌内ガスについても、メタンはほとんど検出されなかったが、二酸化炭素が1.89~6.99%の範囲で検出できた。さらに、より詳細に不飽和帯中の温室効果ガス動態を検討するため、飽和帯(不圧帯水層)からの温室効果ガス放出量も併せてモニタリングする計画をしている。そのため、まずは観測井を設置する前に、地下水位の観測を実施してきた。この不圧帯水層より深部の被圧帯水層では、毎年5月~9月前後にかけて地下水位の大幅な減少が認められているが、不圧帯水層の地下水位にそのような傾向は認められず、おおむね深度80~150 cm程度であった。 今後は、以上の結果を踏まえ、二酸化炭素を主なターゲットとし、地表面放出量および土壌内ガス濃度分布、飽和帯からの温室効果ガス放出量について、本格的なモニタリング作業に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、温室効果ガスの地表面放出量や土壌内ガス濃度分布に関する予備的な検討を短期間で終了させ、熱負荷試験中のモニタリング作業に移行する予定であった。しかしながら、実際に研究を進めるに当たり、より詳細に不飽和帯中の温室効果ガス動態を検討するためには、飽和帯からのインプットも観測対象とする必要があり、まずは地下水位などの基本的な情報のモニタリングを進めてきた。すでに、約60℃の温水を閉鎖系の高密度ポリエチレン製Uチューブ内に循環する原位置熱負荷試験は開始しているものの、予備的な検討に時間を割いてきたため、本格的なモニタリングは始められておらず、現状ではやや遅れていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、必要な機材類の準備もほぼ完了し、原位置での熱負荷試験も開始した段階にあるため、今後は、特に二酸化炭素を対象として、その地表面放出量や土壌内ガス濃度分布、飽和帯からの放出量について、本格的なモニタリングに取り組む。特に、熱負荷中ならびに自然放冷もしくは強制冷却条件でのガス動態を観測し、地下温度の上昇がガス動態に及ぼす影響、さらには、それが可逆的な反応か否かまで明らかにする予定である。
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