2014 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマーカー早期検出のための表面プラズモン増強型蛍光バイオセンサの開発
Project/Area Number |
26889025
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
當麻 浩司 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (40732269)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 表面プラズモン / バイオセンサ / 蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高感度・リアルタイム測定が可能な表面プラズモン増強蛍光(SPF)バイオセンサを開発し、疾病の指標となるバイオマーカーを簡便に検出するための要素技術を構築することである。採取した生体サンプルから分離・抽出することなく、高選択・高感度に検出することができれば、疾病の早期発見・治療が可能となり、予防・完治へ多大な貢献をもたらすと考え、研究を進めてきた。26年度では、(1)シミュレーションを用いた蛍光増強用表面プラズモンに最適な構造、材料等の検討と、(2)SPFバイオセンサとその制御・解析システムの構築を行った。 SPFには最も作製が容易であり、バイオセンサのための表面修飾法が多数考案されている金平膜を用いることとした。また金は化学的にも安定で、生体試料の様な過酷な環境下でも使用できるため、都合が良い。シミュレーションには有限要素(finite element method, FEM)法を用い、金平膜に対して様々な波長と入射角で分散関係を調べたところ、波長が近赤外に近づくにつれ、プラズモン特性は良くなる結果が得られた。しかし、実験に使用する光源や、蛍光色素を勘案し、可視光である波長633 nmの励起光を採用することとした。数値計算の結果、波長633 nmの光で励起された金-誘電体界面の表面プラズモンポラリトン(surface plasmon polariton, SPP)によって、電場強度が約50倍増強することが確認された。蛍光分子からの蛍光強度は、その励起光強度に比例することから、SPPを用いない場合に比し50倍程度高い蛍光シグナルが得られることが予想される。次にSPFバイオセンサの構築を行った。クレッチマン配置用のプリズムや基板ホルダー、フローセルなどをデザイン・作製し、光学系を配置した。以上のように、当該年度に予定していた(1)の研究目的を達成し、(2)は現在も進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請課題の目的は、バイオマーカーを簡便に検出し、疾病の早期発見・治療に有用なSPFバイオセンサを利用した要素技術を構築することである。特に26年度では(1)SPFに最適な構造、材料等の検討と、(2)SPFバイオセンサの開発・構築であった。これに対し申請者は、材料、構造、励起波長を選定し、そのプラズモン特性をシミュレーション・数値計算などにより明らかにした。さらにバイオセンサに必要な光学系、フローセルなどの開発も行い、26年度の目標を概ね達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度で得られた結果を基に、まずは(2)SPFバイオセンサとその制御・解析システムを構築する。その後に(3)モデルサンプル(単層リポソーム)を用いたSPFバイオセンサの評価・最適化を行う。
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Research Products
(2 results)