2014 Fiscal Year Annual Research Report
熟練オペレータの思考プロセスに基づくデータ指向型制御系の設計
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26889026
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
脇谷 伸 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00728818)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 制御工学 / 熟練技術者 / PID制御 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,熟練オペレータのパラメータ調整プロセスをデータ指向型制御系設計の観点から明らかにし,制御分野で指摘されている理論と応用のギャップを埋める一制御系設計法を示すことである。26年度の研究における実績は主に以下の点である。 Ⅰ.実験装置の開発:本研究では,産業現場における熟練者技を対象としている。したがって,研究においては産業装置を模擬したような実験装置によるデータの取得が必須となる。26年度の研究では,熱プロセスのひとつである射出成型機を模擬した実験装置を製作し,熟練者技能データを取得する準備を整えた。 Ⅱ.エキスパート制御系の提案:複数の熟練者による操業データをデータベースに蓄積し,その技能をPID制御器の制御パラメータとして表現するエキスパート制御系を提案した。また,本研究の成果を2014年12月に開催された電気学会の制御研究会において「操業データに基づくエキスパート制御系の設計に関する考察」と題して発表し,その研究成果が認められ,技術委員会奨励賞を受賞した。また,本研究成果について制御性能評価に基づく熟練者技能の評価法についても考察を行い,2015年5月にマレーシアにて開催予定のThe 10th Asian Control Conference 2015 (ASCC 2015)でも発表を行う予定である。 Ⅲ:熟練者の思考プロセスを評価するための手法に関する文献調査 本研究では,熟練技術者が制御パラメータを調整する際,「取得されたデータのどの項目に基づきパラメータ調整をしているのか?」について明らかにすることを目的としている。その際,相関解析等の手法が有効であると考えられるため,主成分分析やMTシステムに関する文献調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は,26年度に実験装置が完成し熟練者データの取得に取り掛かる予定であったが,一部実験装置の設計に問題が発生し,現在,その修正作業を行っているところである。 一方,理論構築についてはエキスパート制御系の設計法について考察が進んでおり,多少,研究計画とは前後はしているものの予定通り研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究を進めるにあたっては,Ⅰ.実験装置の修正,②提案アルゴリズムの実装化,③熟練者の思考プロセスの分析,④学会発表および論文執筆を中心として研究を進める。具体的には以下のとおりである。 Ⅰ.実験装置の修正:昨年度,熟練者技能を評価する実験装置を作成したが装置の動作にいくつかの不具合が発生している。この不具合を解決し,早急に熟練者データを取得できるようにする。 Ⅱ.提案アルゴリズムの実装化:前年度の研究において,複数熟練者の技能データからPID制御系を構築する「エキスパート制御系」を提案し,シミュレーションにおいてその有効性について検証を行った。本年度ではこのアルゴリズムを実装し,実験装置によってその有効性を検証する。 Ⅲ.熟練者の思考プロセスの分析:実験の際に得られたデータを基に,熟練者がどのようにPIDパラメータ調整を行っているかについて相関解析に基づく分析を行い,熟練技術者の思考プロセスについて定量的に評価を行う。 Ⅳ.学会発表および論文執筆:これまでの成果について,国内外にて学会発表を行うとともに,学会にて得られた意見などを踏まえて論文を執筆し学会誌への投稿を行う。
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Research Products
(2 results)