2014 Fiscal Year Annual Research Report
モーションインピーダンスによる動作分解に基づく力触覚代替と動作代行の実現
Project/Area Number |
26889030
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
野崎 貴裕 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20734479)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | インピーダンス / 動作分解 / 力触覚代替 / 動作代行 / 遠隔操作 |
Outline of Annual Research Achievements |
人間は力触覚によって力加減を調節し柔軟に作業をこなしている。しかし、義手等の既存の動作支援装置では力触覚が感じられず、接触対象物を破壊する危険がある。力強さと繊細さを兼ね備えた人間の動作をいかにして人工実現するかが、人間支援システム実用化における隘路である。 研究代表者は人の接触動作をモーションインピーダンスによって基本三要素に分解記述し、また再現するという手法を開発した。本研究ではこれを援用し喪失した身体部位の力触覚知覚機能を他の部位で代替するとともに、力触覚情報に基づき電動義手などの自動機械に動作を代行させ、肢体不自由者の動作支援を実現する。 平成26年度は研究計画第一期に位置付けられる。第一期においては、小目的A. 運動の特徴を表すモーションインピーダンスの抽出に着手した。人間のモーションインピーダンスを同定し基本三要素(座標変換・速度源・力源)により記述される力触覚情報を抽出するには、力触覚供給装置と力触覚受給装置により構成される動作支援システムに同定信号を付加する必要がある。本研究期間においては研究協力者の支援のもと、肢体不自由者へのインタビュー調査を実施し、力触覚供給装置および力触覚受給装置の要件や基本構成についての決定を行った。これにより、力触覚供給側の身体部位と力触覚受給側の身体部位とでは関節の稼動範囲や力触覚に対する鋭敏さが異なることが明らかとなった。したがって、異なる運動を関連付ける方法や、接触の際の力触覚を拡大して伝達する方法についての検討を行い、解決に向けた方針を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
肢体不自由者へのインタビュー調査を実施することに成功した。また、これにより、力触覚供給装置および力触覚受給装置の要件を明らかにすることができ、基本構成を決定するに至った。力触覚供給側の身体部位と力触覚受給側の身体部位とでは関節の稼動範囲や力触覚に対する鋭敏さが異なるなどの問題が生じたものの、これらについてはすでに解決の目処がたっており、本研究は当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究計画第二期(平成27年4月から平成27年11月)および研究計画第二期(平成27年12月から平成28年3月)に順次着手していく。研究計画第二期では力触覚供給側装置と力触覚受給側装置との間の動作の対応付けに取り組む。独立主成分分析および多様体学習を導入し、力触覚代替の設計論を確立する。また、これと平行して装着型食事支援装置のプロトタイプ開発を開始する。当初の研究計画では、装着型把持支援装置の開発を予定していた。しかし、肢体不自由者へのインタビューの結果、食事支援に対する関心が高いことが判明したため、食事支援のための装着型装置を開発する方針とした。 研究計画第三期では、研究協力者である理学療法士の指導と助力を受け、第二期で開発した力触覚代替の試作装置を用いた臨床実験を実施し有用性を確認する。装置の重量配分や稼動範囲、脱着方法など、実際に使用する際の問題点を洗い出し、改良・改善に取り組む。これにより実用化に向けての見通しをつける。
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