2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26889041
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
菅沼 学史 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90731753)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 固体酸触媒 / 酸化触媒 / バイオマス変換 / グリセロール / アクリル酸 / ゼオライト / ワンポット |
Outline of Annual Research Achievements |
グリセロールからアクリル酸を製造するプロセスは通常2段階の反応で行われているが,本研究ではワンポット(ワンステップ)でのプロセスを構築することでエネルギーを低減させることを目的としている.本年度のはじめに1段階目の反応であるグリセロールの脱水反応でアクロレインが生成するプロセスを検討した.ワンポットでアクリル酸を高効率に合成するためには,脱水反応を効率よく進行させる固体酸触媒の選定が重要である.また,2段階目の反応はアクロレインの酸化によってアクリル酸が生成する過程なので,この反応には酸化触媒が必要となる.固体酸触媒にはこの酸化触媒を担持させるため,担体として優れた反応場をもつことが期待される.規則的多孔体をもつ固体酸触媒であるゼオライトを利用することを検討した.参照触媒である種々のゼオライトの比較を行ったところ,ZSM-5が最も選択的にアクロレインを生成できることが分かった.また,ZSM-5はコーキングによる触媒劣化の影響も小さかった.次に,ZSM-5を担体に用いてアクリル酸のワンポット合成反応の検討を行った.酸化反応を進行させるためにバナジウム(V)を含む種々の金属種を担持させたが,アクリル酸の生成が確認できなかった.そこで,モリブデン-バナジウム(Mo-V)の酸化物を担持したZSM-5による触媒反応を検討した.一般的にVのみで酸化反応を行うと過剰に酸化反応が進行してCO, CO2が生成するが,Moを共存させることで過剰酸化を抑えることができると言われている.検討結果では,アクリル酸の生成が確認でき,収率は担持後のMo-Vの焼成温度が300 – 350 ˚Cで比較的高い収率を示した.しかし,その収率は17 %程度で,COxや副反応による酢酸や中間体であるアクロレインが生成していた.次年度では効率よくアクリル酸を合成するプロセスを構築するために酸化触媒の検討を進める.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に記載したグリセロール脱水反応の検討を行い,ワンポットでアクリル酸を合成するプロセスの構築へ繋げたため,計画通りに進行している.しかし,Mo-Vを担持したZSM-5では未だアクリル酸収率は低いため,酸化触媒の検討としてMo-V以外の組み合わせを検討する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
進行中の検討では,Mo-V/ZSM-5の調製条件を変えてアクリル酸の収率向上を進めている.当該年度ではV以外でも副反応の酸化反応が進行する金属種を発見している.この金属種にMo-V中のMoと同じような過剰酸化を抑制する金属種を含めることでアクリル酸収率が向上するかどうかを検討する.
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Research Products
(3 results)