2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26889049
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
三浦 奈々子 鹿児島大学, 理工学研究科, 助教 (80735340)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 振動制御 / 地震応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
地震による振動から構造物を守る手段はエネルギーに着目した場合「アクティブ方式・セミアクティブ方式・パッシブ方式」に大別される。近年の大地震ではパッシブ方式で対応できなかった事例(例えば免震の擁壁衝突)が複数報告されており、アクティブ方式やセミアクティブ方式による地震対策は必要といえる。しかし、停電によりセミアクティブ方式のシステムが稼働できなかった事例があるため、アクティブ方式の普及にはエネルギー問題を解決することが必要である。本研究はエネルギーを自己供給することで稼働可能なアクティブ制振ユニットの提案を目的とする。本研究では、アクティブ制振ユニットは減衰機構と復元機構を含むユニットとして示し、建物や精密機器等を対象とした免震システム、橋脚免震等幅広く応用が可能な形で提案する。 平成26年度には制振ユニットの構成方法の提案と、制御系と構造系の同時設計の方法について検討を行った。対象としては研究課題名である2層構造のものに加えて1層構造のものについても検討を行い、シミュレーションによる制御理論の構築・検証を行った。また次年度の実験に向け、簡易試験体を作成し、機構についての検討も行った。 研究成果は機械・制御・土木分野の学会で発表した。また、一般市民に対する展示会に研究成果を出展する等のアウトリーチ活動もあわせて行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画としていたシミュレーションによる検討を一通り完了し、次年度に向けて一部の機材の選定を行った。 具体的には制振ユニットの構成方法の提案と、制御系と構造系の同時設計の方法について検討を行った。対象としては研究課題名である2層構造のものに加えて1層構造のものについても検討を行い、シミュレーションによる制御理論の構築・検証を行った。また次年度の実験に向け、簡易試験体を作成し、機構についての検討を行った。 制振性能の面で改善の余地があるが、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度には26年度のシミュレーションによる検討で得られたシステムの実機検証を行う。実機検証の位置づけは理論の実証が最終目標であるが、エネルギー回生のための条件や提案システムの物理的制約を抽出する目的もある。そのため実機検証の後にシミュレーションによる検討を計画に加えている。今後の計画は以下の通りである。 ①実機作成:26年度のシミュレーションにより得られた知見をもとに、実験機材の選定および実機の作成を行う。制御に用いる観測値を得るために変位計と加速度計を設置する。エネルギーの観測についてはモータの電圧と電流の測定結果よりエネルギー値を得る(あるいは電力計を使用)。ただし、ここで観測するエネルギーとはモータ駆動に関するものであり、制御システム全体の消費エネルギーを示しているわけではない。実験装置(構造部材、モータやリニアスライダ等の制御装置、センサー類)に関する費用を27年度には計上している。 ②検証:検証実験を行い、所望の性能が得られるかを確認する。外乱等の影響で所望の性能が得られない場合は、当初計画していたエネルギー最適制御(福島:制御対象のエネルギ収支に着目した機械力学系の最適制御,日本機械学会論文集C編,Vol. 72, No. 722, pp. 3106-3114, 2006等)を外乱等に対するロバスト性を有する手法に拡張することや、制御パラメータの再チューニング等による対応を考える。また、その他の要因として制御理論に不足していた点を明らかにする。 ③制御理論の再構築:②の検証による知見を活かし、制御理論の再検討を行う。(なお②③のステップは繰り返し検討する。) 研究成果の公開のため、学術論文誌への投稿、国内学会・シンポジウム発表、国際会議発表を積極的に行う。
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