2014 Fiscal Year Annual Research Report
超大規模溶接変形解析手法を用いた船体ブロック組立時における変形低減に関する研究
Project/Area Number |
26889052
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
生島 一樹 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80734003)
|
Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
|
Keywords | 溶接変形 / 船体ブロック / 大規模非線形解析 / 有限要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、船体ブロック溶接組立時における溶接変形を予測可能なシステムを構築し、最適化手法を導入することで、溶接変形を低減可能な溶接施工方案を提案できるシステムを構築することを目的としている。 平成26年度は、船体ブロックなどの大型薄板構造物の溶接時において、幾何学非線形に起因する座屈などの大変形現象が生じる場合が想定されることから、理想化陽解法FEMに対して、座屈を含む大変形現象を高精度に解析するための基礎的な検討を行った。これにより、幾何学非線形問題の解析において一般的に使用される静的陰解法FEMを基にした手法においては、分岐座屈のように変形モードが極端に変化するような問題を解析するために、固有値解析を実施し変形モードを決定する等の複雑な解析手法が必要とされるが、理想化陽解法FEMは動的陽解法FEMをベースに定式化を行っているため、従来手法では複雑な手順が必要な分岐問題において、動的陽解法FEMの動的効果により、スムーズに解析できるようになることが確認できた。 加えて、実施工における溶接変形は、仮付け、ルートギャップ、目違い、部材間の寄せ作業等の組立工程における諸因子の影響が熱変形による影響よりも大きい場合も存在することから、本年度は、このうちの仮付けが溶接変形に及ぼす影響に関して注目し、これを考慮可能な解析手法を構築した。また、構築した解析手法を仮付けを有する溶接継手の変形の解析に対して適用し、実験結果との比較を通して、仮付けが溶接変形に及ぼす影響について整理した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、船体ブロックなどの大型薄板構造物の溶接組立において発生する可能性がある座屈形式の大変形現象や、溶接を実施する際の仮付けが溶接変形に及ぼす影響を解析するための解析手法の拡張ならびに基礎的な検討を実施した。 その結果、従来の解析手法では解析が困難となるような変形モードが極端に変化する座屈形式の溶接変形においても、構築した解析手法を用いることで、スムーズに解析できる可能性があることが分かった。 また、溶接を実施する際の仮付けが溶接変形に及ぼす影響を考慮可能な解析手法を構築し、実験結果と比較することで、仮付けの条件と溶接条件の関係について整理することができた。 以上のように、今年度の研究を通して、研究全体が大きく進展したことから、本研究は当初の計画より進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、溶接変形を低減可能な施工方案を提案できるシステムを構築するため、前年度に開発された溶接変形解析システムに対して、最適化手法などをの導入を試みる。 小型構造物の溶接組立時の変形問題に対して提案システムを適用し、溶接組立実験の計測結果と比較することで、提案システムの妥当性を検証する。溶接変形の計測に関して、構造物の溶接組立工程における変形は非常に複雑であることから、構造物全体の変形分布の履歴を計測することができるステレオ画像法に基づく溶接変形計測を適用することで、構造物の溶接中の変形分布の履歴を計測し、提案システムによる変形分布予測結果との比較を行う。 更には、一連の研究により構築される溶接変形予測システムを船体ブロックの溶接組立工程を想定した問題の解析に対して適用することで、提案システムの船体ブロックの溶接組立への適用可能性を示す。なお、本検討においては、膨大な計算量が予想されることから、GPUクラスタを活用し、検討を行う予定である。
|
Research Products
(3 results)