2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26889059
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
都祭 弘幸 福山大学, 工学部, 教授 (20736714)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 制震効果 / 履歴型ダンパー / 吸収エネルギー / 鉄筋コンクリート / H形鋼 |
Outline of Annual Research Achievements |
地震時に建物の揺れをコントロールする制震ダンパーには,様々な材料・部材形状のものが開発され実用化されている。それらの制震ダンパーは建物内部に設置され,かつ低降伏点鋼を使用しているものが多い。建物内部に設置されるので,既存建物の補強に利用する場合には使用性を低下させることになってしまう。しかし,建物外部に設置できる制震ダンパーがあれば,居室空間を維持した状態で,かつ使いながらの補強が可能となる。建物外部に設置する一つの方法としてアーチ形を発案し,さらにコストダウンを目指してダンパー部に低降伏点鋼のような特殊鋼材ではなく一般鋼(H形鋼)を使うこととした。 H形鋼の構造実験は多数あるが,ダンパー材として研究した事例はほとんどなく,その履歴性状やエネルギー吸収性能は本構造を実用化するための技術資料としては不足している。 そこで,基本的なH形鋼の履歴性状を把握するために約1/3縮尺4体の構造実験を実施した。実験結果から一般材種のH形鋼でも安定した履歴を保有できること,および吸収エネルギーと部材変形角との関係,ダンパーとして適用する場合の課題などを明らかにした。 解析的研究では,有限要素モデルによる弾塑性解析を実施し,荷重変形曲線のループ形状や吸収エネルギー量に関する検討を行った。その結果,解析によりダンパー降伏後の荷重変形曲線および吸収エネルギー量を概ね再現できることが確認できた。解析では,塑性後の荷重変形曲線のループ形状を左右する構成式パラメータの決定方法が構造実験データとの比較による結果であることが課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究会の立ち上げが遅れたため,解析的研究の着手が予定よりも遅れたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,平成26年度と同様に,実験的研究(テーマA)と解析的研究(テーマB)を並行して進める。以下にその内容を詳述する。 テーマA:アーチ形ダンパーの履歴性状に関する実験研究 より高いエネルギー吸収性能を目指した構造部材実験として,実際の約1/3スケールの試験体3体程度を実施する。パラメータは,H形鋼の塑性部分の改良方法とする。大まかなスケジュールは,4~6月に解析的検討により試験体を計画し,11月頃に構造実験実施を予定する。12月~3月にかけて実験データの分析および報告書作成を行う。建築研究開発コンソーシアム内に設置した研究会にて実験計画・実験結果を検討する。 テーマB:アーチ形ダンパーの解析モデルに関する研究 平成26年度の実験データを利用し,引き続き履歴性状の推定が可能な構造解析法(ループ形状を決定する構成式パラメータ決定方法)を検討する。また,構造実験におけるパラメータの判断材料を得る。建築研究開発コンソーシアム内の研究会にて解析方法・解析結果を検討する。
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