2014 Fiscal Year Annual Research Report
飽和/不飽和地盤における部分排水効果を利用した強度推定法の構築
Project/Area Number |
26889062
|
Research Institution | Fukushima National College of Technology |
Principal Investigator |
金澤 伸一 福島工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20580062)
|
Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
|
Keywords | 飽和/不飽和 / 部分排水強度 / 数値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,あらゆる産業において,コストを削減しつつ製品に対する品質を高めることが社会的趨勢となっている。このような社会的動きに応えるためには,土構造物の設計条件,または工程における,無駄を効率よく省くことが急務である。一般的に,盛土構造物の設計時に行う安定解析において,粘土地盤,または中間土地盤は,盛土載荷時の施工速度などは問わず,安全性から非排水せん断強度が用いられている。地盤の透水性・排水距離と載荷速度の関係によっては,部分排水効果(圧密)による強度増加が期待できる。そのため,非排水強度だけでなく,部分排水強度,さらには排水強度の範囲まで検討することが必要となる。その結果,適切な強度の理解,最適な施工速度および工期の決定が可能になると期待される。 本申請の研究では,土の部分排水強度に着目し,室内実験と数値解析を用いることで,実地盤スケールにも適用できる部分排水効果を考慮した土(飽和~不飽和)の強度推定法を提案することと,その強度推定法を利用することで,施工現場における施工速度および工期を簡易的に算定できる指標を構築する。 平成26年度は,(1)せん断速度を変化させた部分排水試験を行った。(2)部分排水せん断シミュレーションを実行した。(3)実験と解析から得られた結果を整理し支持力計算を用いて試算した。(4)飽和/不飽和までを包括する形で,土の種類に依らない部分排水レンジにおける指標構築を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は,(1)せん断速度を変化させた部分排水室内実験を行った。 具体的には,排水距離を変化させた試験方法は,片面排水試験と両面排水試験を行なった。また,実験で用いた試料は,飽和土(粘性土・中間土)で,実験で行うせん断速度は,0.001%/min~10%/min(計6段階)まで変化させた。 (2)飽和/不飽和の部分排水せん断シミュレーションを実行した。飽和/不飽和での部分排水レンジの発現や,せん断時の供試体の状況(応力・サクション・間隙空気圧などの変化)や,そのメカニズムが明らかとなった。部分排水せん断試験の解析手法は,室内実験と全くの同条件において再現解析を行なった。解析の観点からせん断時の供試体の状況についても考察し,得られた解析結果を,実験と照らし合わせ比較検討した。 (3)実験と解析から得られた結果を整理し,部分排水レンジにおける部分排水強度推定式を提案した。その結果を用いて破壊までの部分排水レンジ適用範囲を支持力計算を用いて試算した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,土の種類に依らない部分排水強度を実務にまで応用し展開する。具体的には,2年間の室内実験・数値解析から得られた,新たに提案する部分排水レンジにおける部分排水強度推定法を用いて,排水距離,施工速度,ならびに施工予定の盛土高さをパラメータとし,施工現場における適切な施工速度・工期を算定できる指標を構築する。 また,実際の現場の条件(実地盤の条件)を用いて,提案する指標の適用性,実用性を評価・検討し最終年度の締めくくりとする。
|