2014 Fiscal Year Annual Research Report
高速イオンによって駆動されるインターチェンジモードに関する研究
Project/Area Number |
26889064
|
Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
西村 征也 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (70548544)
|
Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
|
Keywords | 磁場閉じ込め核融合プラズマ / 高速イオン / 電磁流体力学的不安定性 / 運動論的効果 / 波-粒子共鳴相互作用 / エネルギー原理 / 分散関係 / 粒子シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の成果が得られた。 (1) 運動論的エネルギー原理の構築と分散関係の解析 本研究で扱う運動論的エネルギー原理は、高速イオンとMHDのエネルギー交換を記述するモデルである。トカマクにおけるChen(1984)の理論をヘリカル系に拡張した。導出されたモデルをヘリカル系のインターチェンジ(IC)モードと捕捉高速イオンに限定し、拡張されたICモードの分散関係を導出した。分散関係を試行関数法によって近似的に解いた。モデルを解析した結果、ICモードが安定な領域においても、モードが不安定化されることが明らかになった。捕捉高速イオン駆動型のICモードの存在を理論的に記述する新しい成果が得られた。 (2) 捕捉高速イオンの粒子シミュレーションコードの開発 ヘリカル系における捕捉高速イオンの運動をシミュレーションするための粒子シミュレーションコードを開発した。バウンス中心の軌道や歳差ドリフト周波数について、シミュレーション結果は理論予測とよく整合することが確かめられた。ICモードを模擬した電場揺動が存在する場合の粒子シミュレーションを行った。電場揺動と捕捉高速イオンのエネルギー交換は、理論で予測される波-粒子共鳴条件を満たす場合に最も大きくなることが確かめられた。 その他に、前年度まで取り組んできた磁気島とプラズマフローの相互作用に関する研究についても論文執筆や学会発表を行った。この研究は、MHDに対する運動論的効果という枠組みにおいて本研究課題と密接に関連するものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
運動論的エネルギー原理に基づく拡張されたICモードの分散関係を導出し、初期的な解析から捕捉高速イオンによって駆動されるICモードの発見に至った。この成果は速報として学術雑誌に掲載されるなど、新規性が評価された。また、粒子シミュレーションコードの開発を進め、捕捉高速イオンの軌道や周波数に関して理論的仮定との整合性を検証した。このコードを用いて、捕捉高速イオンに対する電場揺動の作用を調べ、理論解析の予測する波-粒子共鳴条件と矛盾しないことが検証された。これらは、当初の計画で期待されていた成果である。 以上より、本研究はおおむね順調に進展している進展していると判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
拡張されたICモードの分散関係に関しては、初期的な解析が修了した段階であり、今後はより詳細な解析が必要である。また、実際の装置においてはトロイダル効果によって捕捉高速イオンの軌道が磁気面からずれたり、ヘリカル系プラズマに特有のトロイダルリップル構造の寄与が存在する。これらの寄与を加味した理論モデルの構築およびシミュレーションコードの開発が必要である。
|
Research Products
(10 results)