2014 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の外出・交流活動を促進する木造密集市街地の改善モデルプラン
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26889065
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Research Institution | Anan National College of Technology |
Principal Investigator |
池添 純子(奥山純子) 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科(旧建設), 助教 (50515624)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 高齢者 / 外出行動 / 交流活動 / 居住環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高齢者の社会的孤立対策に有効であると考える、高齢者が外出や交流をしやすい居住環境を検討するため、小学校区程度で居住地が特定できる高齢者を対象にアンケート調査を行い、居住環境と外出行動の関連性を明らかにすることを目的としている。一連の研究では、複数の地域で同様の調査を行い、類似する居住環境と調査結果を比較することで、個体性や地域性によらない住宅地の特性と高齢者の外出行動・交流活動の関係を明らかにすることを目指している。またその結果をもとに、劣悪な環境といわれてきた木造密集市街地の改善モデルプランを検討する。
平成26年度は、大阪府寝屋川市に居住する高齢者に対して調査を実施した。調査対象者は、寝屋川市社会福祉協議会の校区福祉委員会が各地区で開催している会食会や喫茶事業に参加した高齢者193名である。2014年10~12月に開催されたエリアの異なる7地区にてアンケート票の説明及び配布回収を行った。以下、調査結果を簡潔にまとめる。 1.「外出時に困ること」に関する質問では、買い物困難者が多く国のモデル事業として支援がある地区は、全項目で「困る・少し困る」という回答が多い。特に「公共交通の便」「外出先での階段・段差」で割合が高く、買い物困難者の多さはこのような居住環境に起因することが予測される。2.「交流活動」に関する質問では、地区別の回答結果より男女の性差で違いがみられ、特に「一緒にでかける」「悩みごとを相談する」近所付合いの有無は、女性の方が「ある」という回答が多いことに有意な差があった。3.寝屋川市は比較的居住密度が高い住宅地や集合住宅群が多かったため、平成27年度は近隣地域の中で比較的居住密度が低い郊外一戸建て住宅地で同様の調査を行い、これまでの調査結果と比較し分析を深める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度に予定していた2自治体での調査のうち、1か所は予定通り終了したが1か所は調査地の確保ができなかった。 新規調査地選定及び依頼により、平成27年度には新たな地域で調査が可能となった。 平成26年度の成果は、2015年度日本建築学会大会(関東)において発表登録している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.大阪府における調査 平成26年度に引き続き大阪府において追加調査を実施する。平成27年度は、郊外一戸建て住宅地が所在する大阪府吹田市と豊中市を調査対象地とし、これまでと同様の手法で社会福祉協議会主催の会食会等に参加した高齢者を対象とする。 2.新規エリアの調査 東京都豊島区において大阪府と同様の調査を実施する。 3.研究のまとめ これまでに行った全調査より、個体性や地域性によらない住宅地の特性と高齢者の外出行動・交流活動の関係を明らかにする。また、この関係性を踏まえ、木造密集市街地を高齢者の生活にふさわしい住宅地として整備できるよう、新しい視点での改善方法・モデルプランを提案する。
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