2014 Fiscal Year Annual Research Report
中心ソレノイドの磁束消費を最小限に抑えた先進プラズマ電流立ち上げシナリオの開発
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26889069
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
若月 琢馬 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門 那珂核融合研究所, 博士研究員 (40734124)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 核融合 / 炉心プラズマ / プラズマ電流立ち上げ / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、建設コストの低い経済的な核融合炉の実現に必要とされる、中心ソレノイド(CS)による電流駆動を最小限に抑えた電流立ち上げシナリオを構築することである。具体的には、TOPICS統合輸送解析コードを用いたシミュレーション研究を行い、核融合炉心級に近いプラズマを生成可能なJT-60SAにおける中性粒子ビーム入射(NBI)および電子サイクロトロン波(ECW)を用いたプラズマ電流立ち上げシナリオの構築を行っている。 本年度は、プラズマ電流立ち上げ初期からプラズマの圧力を高くすることで、プラズマ中に自発的に流れる電流を最大限に活用できるシナリオの検討を行った。一般に圧力の高いプラズマは電磁流体(MHD)不安定性が起こりやすいので、理想MHD安定性解析コードMARG2Dを用いて、不安定性を回避するシナリオを検討した。その結果、自発電流を有効に活用しながら不安定性を回避するためには、周辺部と内部にそれぞれ輸送障壁を持つ、比較的緩やかな勾配の圧力分布を実現する必要があることが明らかになった。また、不安定性の回避にはプラズマを取り囲む導体壁による安定化効果が重要であることも明らかになった。 さらに、NBIやECWによる電流駆動と自発電流によってプラズマ電流をオーバードライブすることで、CSによる電流駆動を全く行わずにプラズマ電流を立ち上げるシナリオも検討した。このシナリオでは、CSによる電流立ち上げに比べて非常に長い立ち上げ時間がかかることが明らかになり、JT-60SAではその放電時間と同程度の150秒程度の時間が必要になると試算された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初に計画していたMHD安定性解析は予定通り行われ、安定性を確保しながらCSによる電流駆動を行わずにプラズマ電流を立ち上げていくために必要とされる圧力分布を明らかにすることができた。また、様々なトカマクにおける実験結果から、外部キンクモードが不安定になることが予想されていた時間帯でも、プラズマを取り囲む導体壁による安定化効果によって、安定性を確保できる可能性があることを明らかにすることができた。以上のように核融合炉の高性能化に必要とされるCSを用いないプラズマ立ち上げシナリオの問題点を解決する方法を明らかにすることができており、研究はおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの結果から、不安定性を回避するためには比較的緩やかな圧力分布を持つプラズマが必要であることが明らかになった。これまでの計算では密度分布は仮定して与えていたが、自発電流の割合が高いプラズマではその圧力分布、電流分布が密度分布と非常に強く結びつくことが明らかになっている。そこで今後は、最適な圧力分布を実現するための密度分布が実現可能であるか否かを、プラズマの粒子輸送のモデルを取り入れた計算を行うことで明らかにすることを目指す。 また、本年度JT-60SAについて検討したシナリオを基にして、現在設計活動が進んでいる実際の発電を行う原型炉において、プラズマ電流立ち上げ時のCSによる電流駆動の必要性がどこまで減らせるかを定量化することを目指す。
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Research Products
(2 results)