2014 Fiscal Year Annual Research Report
精密切削とエッチングを用いた金属組織の全自動三次元観察とその三次元形状評価
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26889071
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山下 典理男 独立行政法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 特別研究員 (10734486)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 三次元観察 / 金属組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,金属材料の高精度・高効率な三次元内部組織構造の取得と,その定量評価を目指した研究を行なっている.本年度は,三次元内部構造取得システムの開発に取り組んだ.本システムは,金属材料のエッチングシステムを現有の金属材料用の三次元内部構造顕微鏡に統合し,精密切削とエッチングによる全自動三次元観察システムの実現を行なうものである.通常,エッチングのための金属試料の鏡面創出は研磨により行われるが,本システムでは,効率化のためにドライ環境による精密切削により行う.また,機上でのエッチング処理を行なうため,試料を腐食液に浸すのではなく滴下塗布によりエッチングを行い,腐食液の低減およびシステムの簡易化を図る.本年度は初めに,これらの切削条件,エッチング条件を確立するため,高張力鋼を対象試料とし,条件検討を行なった.切込量および切削速度の検討により,切込量1 μm,表面粗さRa=10 nm程度の鏡面を数10断面にわたって安定的に得られることを確認した.さらに得られた断面に対して,腐食液の滴下によるエッチング処理により,腐食液滴下によっても,鉄鋼材料の結晶組織を観察できることを確認した.また,システムの全自動化を目指した取り組みについても検討を行なった.システムの全自動化には,精密切削,エッチング液の塗布,洗浄,乾燥,断面撮影といった各工程を制御し,自動的に実行する必要がある.本年度は,制御システム全体の構成の設計を行った上で,三次元内部構造顕微鏡用の制御システムに新たに外部制御器を追加し,制御シーケンスを構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに,高張力鋼の断面創出条件およびエッチング条件の検討を行い,連続断面創出とエッチングによる三次元観察に必要な条件検討がほぼ完了している.制御システムについて,制御シーケンスは構築したものの,一部機器について実装が必要な箇所が残るが,今年度早期に実装を完了させ,当初計画通り本年度計画を進める予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,昨年度に構築のシステムについて,早期に追加実装を終え,鉄鋼材料の三次元内部組織構造のデータ取得を行なう.さらに,研究実施計画に従い,三次元組織の定量評価技術の開発を行なう.構築した観察システムを用いて得られた三次元組織画像から,組織の種類ごとに領域抽出を行い,各領域の幾何形状解析を行なう予定である.
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