2014 Fiscal Year Annual Research Report
全球河道幅・河道深さデータベースの構築による大規模洪水の予測精度の向上
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26889077
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
山崎 大 独立行政法人海洋研究開発機構, 統合的気候変動予測研究分野, 研究員 (70736040)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 水文学 / 河川 / 湖沼 / リモートセンシング / 全球 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
●LANDSAT衛星画像を用いた全球高解像度水面マスクの開発が完了した。 全球河道幅データベースの高度化に必要な、高解像度で全陸域をカバーする水面マスクを新規開発した。30m解像度のLANDSAT衛星画像を33890枚取得し、雲と雪氷の除去・水面と似た反射特性を示す湿った土壌・塩湖・影などの除外をし、さらに浸水頻度解析を行うアルゴリズムを構築した。構築したアルゴリズムを用いて、90m解像度で・雲による欠損のない・水面の存在頻度までを考慮した全球水面マスクを作成した。高解像度で浸水頻度を考慮することで、既存の水面マスクデータでは一緒に扱われていた河道と氾濫原を明確に分離することに成功した。全球での合計面積は、恒久的な水面が3.1 百万km2、一時的な氾濫域が0.5 百万km2となり、複数画像を用いた浸水頻度計算による水面タイプの分類を行わないと水面面積が過大評価される可能性が示唆された。構築したアルゴリズムは全プロセスを自動化しているため、衛星画像の追加や高解像度化といった今後の発展が期待できる。全球高解像度水面マスクの開発については論文発表に向けた作業を進めており、また開発した水面マスクデータを研究者コミュニティで活用できるよう準備が整い次第Webにて公開予定である。
●全球河道幅データベースを論文とWebで公開した 既往の水面マスクを用いて計算した全球河道幅データベース(Ver.1)を論文発表しWebでデータを公開した。学会講演などを通してデータベースの紹介を行い、今後の改良や応用研究について議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
●計画通り年度内に全球水面マスクの開発を完了し、論文発表とデータ公開に向けて作業を進めている。全球高解像度(90m)で洪水頻度を考慮した水面マスクは本研究成果が世界で唯一のプロダクトであり、2014年に国際学会で開発中のプロダクトを紹介したところ強い関心が寄せられた。
●2014年に論文発表とWeb公開を行った全球河道幅データベース(Ver.1)は、世界で唯一の全地球をカバーする河道幅プロダクトであり、公開から1年で30以上の海外研究機関からデータ公開要請を受けるなど、非常に高い評価を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
●全球河道幅データベースをアップデートし、データを公開する。 開発した全球高解像度水面マスクを用いて河道幅データベースの高精度化を行うが、川幅計算には標高データと表面流向データも必要である。北緯60度以北は信頼性の高い地形データが利用できないので、開発した水面マスクを用いて全球標高データを修正し、新たな全球表面流向データを構築する。全球河道幅データ(Ver.1)に用いた川幅計算アルゴリズムを改良して、構築した全球水面マスクと修正した全球表面流向データから河道幅を計算し、全球河道幅データベース(Ver.2)を作成する。
●全球河川モデルと衛星高度計を組み合わせて河道深さを推定する手法を開発する。 全球河川モデルが計算した水面標高と衛星高度計が観測した水面標高を比較してモデルの河道深さを推定するアルゴリズムを、データ同化手法を用いて開発する。全球河川モデルの不確実性を低減するために、構築した全球表面流向データ・全球標高データ・全球河道幅データを用いて河川モデルのパラメータを改善し、モデルの不確実性を低減させて水深の推定精度を高める作業も行う。
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