2015 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞のスタチン系薬剤感受性を決定する分子メカニズム―感受性マーカーの探索―
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26890019
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
割田 克彦 鳥取大学, 農学部, 准教授 (40452669)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 薬効評価と予測 / がん細胞の特性 / 化学療法 / スタチン系薬剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
スタチン系薬剤は血中コレステロール値の低下作用以外に、制がん作用を発揮する可能性があることが報告され、がん細胞に対する増殖抑制効果が注目されている。しかし、スタチンがどのような特徴を有するがん細胞に有効なのか、具体的な部分は未だ不明である。これまでに我々は、がん細胞が発現しているタンパク質を網羅的に解析し、スタチンが効かないがん細胞、すなわちスタチン耐性株にはE-カドヘリン(上皮系細胞に特有の細胞接着因子)が高発現していることを報告してきた。本研究課題では、これまでの成果を裏付けることを目的とし、E-カドヘリンを細胞に強制発現あるいは発現抑制することで、がん細胞のスタチン感受性が変化するか否かを検討した。 E-カドヘリンをもたないスタチン感受性株にE-カドヘリンを強制発現させると、50%阻害濃度IC50が1.16 uMから4.30 uM(約3.7倍)に増加し、スタチンに対する耐性の獲得がみられた。逆に、スタチン耐性株がもつE-カドヘリンをsiRNAでノックダウンすると、耐性株はスタチンに対して感受性をもつようになり、E-カドヘリンの存在がスタチン感受性と強く相関するものと考えられた。 一方、アトルバスタチン(脂溶性スタチン)で得られた上記の知見が他のスタチン系薬剤にもあてはまるか否かを調べた結果、ロスバスタチン(水溶性スタチン)では、がん細胞の増殖抑制効果が低下する傾向がみられた。これは水溶性スタチンの方が脂溶性スタチンよりも細胞膜透過性が低いことに起因すると考えられるが、HOP-92細胞株(肺由来)など、一部のがん細胞では、脂溶性・水溶性に関わらず同程度のIC50を示し、スタチンに強い感受性をもつ何らかの因子があることが示唆された。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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