2014 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポゾンの抑制に機能するpiRNAの3'末端形成機構の解析
Project/Area Number |
26891004
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
泉 奈津子 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (50579274)
|
Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
|
Keywords | 発現制御 / ゲノム / 核酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
piRNA前駆体の3'トリミングを担うヌクレアーゼTrimmerの同定に向け、本年度はまず、トリミング活性が比較的高いミトコンドリア粗精製画分に由来する可溶化活性画分をクロマトグラフィーにかけ、活性タンパク質の分離を試みた。様々なクロマトグラフィーによる精製を試したが、ほとんどのカラムにトリミング活性は安定に結合せず、複数のクロマトグラフィーによる分離で精製度を高めることは困難であることが判明した。そこで可溶化活性画分を一度ショ糖密度勾配遠心後、活性の高い画分のみをクロマトグラフィーにかけることで精製度の向上を図った。その結果、精製度の改善はみられたが、最終的にクロマトグラフィーで分離した活性精製画分にTrimmerと思われるヌクレアーゼを同定することはできなかった。 そこで方針を変え、piRNA前駆体の3’トリミングに関わることが示唆されていたPIWIタンパク質結合因子Papiに着目した解析を進めた。Papiの機能阻害は、内在piRNAの3’末端の伸長を引き起こすことが既に報告されているが、in vitroのアッセイ系においても、Papiノックダウン細胞ではトリミング活性が著しく低下すること、逆にPapi高発現ではトリミング反応が促進することを確認した。さらに可溶化活性画分をショ糖密度勾配遠心で分離したときのPapiの分布を調べてみると、その分布はトリミング活性とよく一致していた。これら一連の結果から、PapiはTrimmerと複合体を形成しトリミング反応を促進しているという仮説を立て、ミトコンドリア粗精製画分からPapiを免疫沈降したところ、トリミング活性がPapiに共沈降することを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クロマトグラフィーによる活性タンパク質の分離は不成功に終わったものの、新たにPIWIタンパク質結合因子Papiの免疫沈降物中にトリミング活性を見出し、Trimmre同定への足掛かりが得られたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
PIWIタンパク質結合因子、Papiの免疫沈降物中にトリミング活性を見出したことから、今後はPapi複合体に含まれるタンパク質の質量分析解析を行い、Trimmerの同定を目指す。 Trimmer候補となるヌクレアーゼが同定された場合、各ヌクレアーゼのノックダウン、高発現実験を行う。これにより細胞のトリミング活性や内在piRNAの長さに影響がみられるものを絞り込む。同時に組み換え精製タンパク質を用いて活性評価を行い、Trimmerか否かの判定を行う。Trimmerが同定できた場合、piRNA生成における3'トリミングの必要性を明らかにするため、Trimmerの機能阻害が内在piRNAの量やトランスポゾンの発現抑制に影響を与えるか解析する。
|
Research Products
(2 results)