2014 Fiscal Year Annual Research Report
根毛形態形成における細胞内局所的なカルシウムーリン脂質シグナル変換機構と分子基盤
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26891013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 真理子 京都大学, 化学研究所, 助教 (90736646)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 植物 / シグナル伝達 / 脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
根毛は根の表皮から発生し、土中の水や栄養分の吸収を担う、植物に重要な構造体である。根毛は細胞の伸長が先端のみでおこる、いわゆる先端成長により伸長し、根毛が先端成長するためには、Ca2+やホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸(PIP2)を含むいくつかの情報伝達因子が、根毛の先端に集中する必要がある。PIP2は、細胞膜上で細胞内シグナル分子として機能することから、その局在を厳密に制御することは、PIP2シグナルの制御においても重要である。しかし細胞膜が急速に拡張している根毛先端において、産生されたPIP2の局在がどのようにして細胞膜上に維持されるのかは明らかにされていない。これまでに研究代表者は、シロイヌナズナの細胞膜結合型カルシウム結合タンパク質が、in vitroにおいてPIP2を含むイノシトールリン脂質と結合すること、およびその遺伝子の発現量が低下したシロイヌナズナの根毛は先端成長に異常が観察されることを明らかにしている。そこで本年度は、根毛の先端成長中にPIP2が根毛先端の細胞膜上に維持される上で、カルシウム結合タンパク質がどのように関与するのか、調べた。生きた根毛細胞において、カルシウム結合タンパク質およびPIP2シグナルを可視化するため、それぞれの分子マーカーを作製し、シロイヌナズナに導入した。作製した形質転換植物体の根毛を共焦点レーザー顕微鏡下で観察したところ、根毛が伸長し停止するまでの間に、カルシウム結合タンパク質およびPIP2シグナルが細胞膜上でダイナミックな動態を示すこと、およびPIP2の挙動がカルシウム結合タンパク質によって制御される可能性があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究により、カルシウム結合タンパク質とPIP2シグナルを可視化する分子マーカーを発現する植物体の作製を行うことができた。PIP2シグナルマーカーを導入した植物体については、分子マーカーの導入によって表現型が現れ、観察に適しなかったため、プロモーターを変更するなど工夫した。それによって生きた根毛細胞におけるカルシウム結合タンパク質とPIP2シグナルの挙動を観察することができ、おおむね順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、カルシウム結合タンパク質およびPIP2シグナルがどのようなメカニズムによって、根毛伸長から停止するまでの間、ダイナミックな動態を示すのか、明らかにする。薬剤処理によって根毛細胞内のカルシウム濃度を人為的に変え、それによってこれらの動態にどのような影響を及ぼすか、共焦点レーザー顕微鏡下で観察する。
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Research Products
(8 results)