2014 Fiscal Year Annual Research Report
膜タンパク質構造におけるフレキシビリティーのNMR解析
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26891016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小澤 潔 大阪大学, たんぱく質研究所, 招へい研究員 (20251770)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 膜蛋白質 / NMR |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト GPCR (タチキニン NK1 受容体) の大腸菌、もしくは昆虫細胞での発現系を構築し、その安定同位体標識試料を調製した後、ナノディスク膜 (不溶性蛋白質を膜骨格蛋白質、MSP1 のベルトによって囲み、天然に近いリン脂質二重膜構造をとるナノ構造体) 上に再構成し、溶液 NMR による直接観測を試みる。さらに、基質との相互作用を調べることで、X-線結晶解析の苦手とするフレキシブルなループ領域のアミノ酸の役割を明らかにすることを目的としている。現在の進捗状況は、1) タチキニン NK1 受容体の昆虫細胞での EGFP との融合蛋白質としての発現系の作成に成功し、大量発現のための条件検討を行っている段階である。と同時に、安価な安定同位体標識のための無細胞蛋白質発現系の活用も積極的に試みている最中である。2) ファーメンターを用いた大腸菌による、ナノディスク構成蛋白質 MSP1 の大量発現系を構築し、NMR 測定に供することが可能な収量を得ることができた。また、モデル二回膜貫通蛋白質 (pHtrII) の安定同位体標識とナノディスク膜上での再構成実験に成功し、さらにそのナノ複合体の溶液 2D-NMR 測定を行った。これにより、最終的な標識タチキニン NK1 受容体のナノディスク膜上での再構成条件等の把握が出来、どのような安定同位体標識が、今後の ナノディスク膜上で再構成されたタチキニン NK1 受容体の NMR 測定のために有効であることが、実際に初めて体験できた。今後は、今年度に初めて蓄積できたノウハウを基に、さらなる安定同位体標識技術を確立し、NMR による機能に直結したダイナミクスと相互作用を原子レベルで直接観測を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、ナノディスク膜の調製は、比較的簡単であると思われたが、実際には、その構成蛋白質、MSP1 の収量を大幅に向上させないと、NMR 実験には使用できないことが判明したが、条件検討を重なることで、最終的には充分量の収量が得られる方法を確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね順調に来ているが、安定同位体での標識の際に、蛋白質を重水素化する必要があるため、今後積極的に、安価な蛋白質標識が可能な無細胞蛋白質合成系を活用して行こうと考えている。
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Research Products
(1 results)