2014 Fiscal Year Annual Research Report
植物先端成長に対する細胞骨格の作用メカニズムの解明
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26891020
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
日渡 祐二 宮城大学, 食産業学部, 准教授 (10373193)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 先端成長 / 微小管 / アクチン繊維 / ライブイメージング / 微小管付随タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の先端成長は、アクチン繊維と微小管を介して制御される。しかしながら、これらの細胞骨格が独立して機能しているのか、互いに作用しながら機能しているのかはわかっていない。コケ植物の原糸体細胞の先端成長領域では、微小管束が先端成長の伸長速度と方向性の調節に関与する。さらに、アクチン繊維束が微小管束と共局在する。そこで、先端成長領域における微小管束とアクチン繊維束のダイナミクス観察、先端成長に対する微小管・アクチン繊維結合タンパク質の機能解析を行った。 微小管束形成に対するアクチン繊維束の作用を調べるために、微小管・アクチン繊維同時可視化系統を作出した。これまでの微小管・アクチン繊維同時可視化系統に異常形態を示していたが、新たに作出したGTLA49系統の植物体は、野生型と同じ形態を示し、sGFPとmcherryの蛍光シグナルの観察により、GTLA49は微小管とアクチン繊維が同時に可視化された。この系統の原糸体の伸長領域における微小管束とアクチン繊維束をライブイメージングした結果、微小管束とアクチン繊維束が同所的に形成されることがわかった。さらにこれらのダイナミクスを解析したところ、微小管束が形成されているところにアクチン繊維束が形成されることが示唆された。 微小管・アクチン繊維結合タンパク質をスクリーニングした結果、微小管付随タンパク質CLASPが選抜された 。CLASP-Citrine融合タンパク質を発現させたところ、先端領域にCLASP-GFPは微小管束の形成に伴い、微小管束に蓄積することがわかった。この結果から、先端成長にて微小管束を制御するタンパク質である可能性が考えられる。CLASPは微小管とアクチン繊維を架橋する機能が示唆されるため、このタンパク質を介して微小管束とアクチン繊維束が同所的に形成される可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに作出した微小管・アクチン繊維同時可視化系統において、継代培養による形態異常が生じたこと、遺伝子サイレンシングにより蛍光タンパク質の蓄積が減少したことから、微小管とアクチン繊維の可視化が困難な状況になった。そのために、微小管・アクチン繊維同時可視化系統の作出を再度行った。 スクリーニングする微小管・アクチン繊維結合タンパク質の数を増やしたため、因子の選抜に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
微小管・アクチン繊維同時可視化系統を細胞骨格破壊剤で処理し、微小管に対するアクチン繊維の役割、およびアクチン繊維に対する微小管の役割について検討する。 微小管・アクチン繊維結合タンパク質のスクリーニングで選抜された因子について、誘導的なRNA干渉法を用いて、微小管束、アクチン繊維束に対する機能、および先端成長に対する役割を調べる。 これらの結果から、先端成長における微小管とアクチン繊維の相互作用とその分子的制御機構について考察する。
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