2014 Fiscal Year Annual Research Report
縄文時代前期人骨の核ゲノム解析による縄文人集団の遺伝的変遷の解明
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26891029
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
神澤 秀明 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究員 (80734912)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 分子人類学 / 古代DNA / 縄文人 / 遺伝的変遷 / 日本人の起源 |
Outline of Annual Research Achievements |
縄文時代人は現代日本列島人の基層集団であることから、日本人の起源と成立史を明らかにするうえで重要な集団である。縄文時代は1万年以上の長期であるが、これまでの縄文人の核ゲノム分析では、縄文早期と中期のあいだの4,000年間の遺伝情報が欠落している。その遺伝的空白を埋めるための貴重な資料として、近年富山県小竹貝塚から出土した縄文時代前期の人骨のDNA分析に取り組んでいる。これまでのAPLP法での分析から、いくつかの小竹人骨においてDNAの残存が確認されている。小竹人骨の残存DNA量は他の縄文人骨と同様にごく微量であることから、微量DNAを効率的に分析するために、まず次世代シーケンサーで分析するためのDNAライブラリの作成方法を検討した。その結果、従来の2-3倍の効率でDNAライブラリを作成できるようになった。これは、一個体からこれまでの2-3倍の遺伝情報が得られるようになったことを意味することから、縄文人骨のような唯一無二の限られた試料の微量DNAを分析する際には重要である。この方法を用いて作成したDNAライブラリについて、縄文人骨由来のDNA量とコンタミ率を明らかとするために、capture-on-beads methodを用いて試料のミトコンドリアDNAの効率的な分析を行った。小竹縄文人骨については、今年度は上記の分析を数個体について試みており、核ゲノム分析を行うまで適している試料を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで縄文時代人骨を複数含む、複数の古代DNAからライブラリ作成とcapture-on-beads methodを行い、大部分の分析個体において、ミトコンドリアDNAの全配列あるいは部分配列の決定に成功している。古代人由来のDNAが残存していれば、DNAの保存状態に限らずコンタミ率の推定と血縁関係推定のためのミトコンドリアDNAハプログループの決定することができていることから、本研究ははおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的達成のため、平成27年度はコンタミ率の推定までの手法を小竹人骨に適用し、核ゲノム分析に適したDNAライブラリの選出を行う。選出されたDNAライブラリにおいて、次世代シーケンサーを用いたシーケンスを行い、核ゲノムの部分配列の取得と統計解析を行う。
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