2014 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックラベル法を活用した細胞壁リグニンの新生体イメージング法の開発と応用
Project/Area Number |
26892014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
飛松 裕基 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (20734221)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | リグニン / 植物細胞壁 / モノリグノール / 蛍光プローブ / クリックケミストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、木質バイオマス利用拡大に向けた基盤研究として、木質形成の機構解明を目指す各種生物学的研究を幇助する新研究ツールの開発を目的とする。具体的には、ケミカルレポーターとその生体直交型反応に着目したリグニン前駆体(モノリグノール)ミミックを化学合成し、それらを分子プローブとして活用したリグニンの生体イメージング法の開発を行う。2ヶ年計画における1年目となる本年度は、当初の計画通り、リグニン前駆体ミミックの化学合成を中心に検討を行った。市販のケイ皮酸誘導体を出発物質として、適宜保護基を活用しながら、γ位の還元、カルボキシメチル化、アミド縮合により、 ケミカルレポーター(アジドおよびアルキン)を、短鎖長のアルキルスペーサーを介して、γ位に導入したG型・ S 型・H 型モノリグノールミミックの合成に成功した。さらに、 4位のフェノール性ヒドロキシル基のアシル化あるいはグリコシル化により、生体内での活性化を期待する保護基導入型モノリグノールミミックの合成も行った。各反応ステップは概ね高収率に進行している。さらに、G型モノリグノールミミックに関しては、実験室的リグニン重合反応と得られた人工リグニンの色素誘導体とのクリック反応を検討し、生成物の各種分光スペクトル法による構造解析から、期待する反応性を示すことを認めた。また、次年度に予定するモノリグノールミミックを用いた植物イメージング実験に向けて、観察試料とするモデル植物シロイヌナズナの実験室栽培も開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ケミカルレポーターを導入した各種モノリグノールミミックの合成に成功した。次年度に計画する植物イメージング実験の準備も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、今後は、これまでに合成したリグニン前駆体ミミックを活用した植物イメージング実験に焦点を絞った研究を進める。モデル植物シロイヌナズナを用いて、細胞壁リグニンの1)リグニン前駆体ミミックによるメタボリックラベル、2)色素とのクリック反応による蛍光標識、からなる一連のイメージング実験の基本的なプロトコルを確立する。次に、その実験プロトコルに基づき、各種リグニン前駆体ミミックによる発達段階や組織に依存した標識パターンの変化を詳しく検討していく。これらの検討により、リグニン前駆体ミミックを活用した汎用性の高いリグニンイメージング法を確立するとともに、細胞壁木化のダイナミクスに関わる基礎的知見を収集する。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] 生体直交型反応を活用したリグニンのメタボリックラベルと蛍光標識2015
Author(s)
飛松 裕基, Dorien Van de Wouwer, 有賀 哲, Eric Allen, Robert Kumpf, Bartel Vanholme, 上高原 浩, 高野 俊幸, Wout Boerjan, John Ralph
Organizer
第59回リグニン討論会
Place of Presentation
福井工業大学
Year and Date
2015-09-11 – 2015-09-12
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