2014 Fiscal Year Annual Research Report
トランスクリプトーム関連解析によるコムギうどんこ病菌非病原力遺伝子の網羅的単離
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26892015
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉田 健太郎 神戸大学, 自然科学系先端融合研究環重点研究部, 助教 (40570750)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 植物病理 / エフェクター / RNAシーケンシング / 病害抵抗性 / うどんこ病菌 / コムギ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、コムギに感染するうどんこ病菌(コムギ菌)とカモジグサに感染するうどんこ病菌(カモジグサ菌)をいろいろな種類の栽培コムギと野生コムギの葉に接種し、感染の有無を調査した。2倍体の一粒コムギTriticum monococcum, T. urartuと野生近縁種 T. boeoticum, Aegilops umbelulataを中心にコムギ菌とカモジグサ菌に対する病害抵抗性を調べた。その結果、 当初の予想と異なり、調査したT. monococcumとT. boeoticum のほとんどの系統が、コムギ菌とカモジグサ菌に対して感染を許さなかった。一方、T. urartuのいくつかの系統では、コムギ菌とカモジグサ菌の両方の感染が観察された。Ae. umbelulataは、コムギ菌、カモジグサ菌に対して、感染を許す系統と許さない系統に分離した。Ae. umbellulataにおいて、コムギ菌、カモジグサ菌に対する病害抵抗性の程度に多様性があることがわかった。 コムギ菌とカモジグサ菌を交配したできたF1菌系のうち、宿主抵抗性に関与する非病原力エフェクター遺伝子を全て持たない菌系、1つもつ菌系、2つもつ菌系、3つもつ菌系に着目した。感染葉でこれらの菌系で発現している宿主特異性に関与する非病原力エフェクター遺伝子を同定するために、感染葉からRNAを抽出した。 抽出するにあたって、より多くのRNAが、宿主由来でなく、菌由来にするため、RNA抽出法を検討した。その結果、コムギ菌をオオムギの裏表皮に感染させ、18時間から20時間後に裏表皮細胞を剥がし、その裏表皮細胞のみを使うことで菌由来のRNAの割合を高めることができた。現在、RNAシーケンシングを実施するために、ライブラリーを作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画に比べて遅れている。まず、カモジグサ菌の感染性が弱く、感染の程度を評価するのに時間がかかってしまった。また、2倍体の一粒コムギにおいて、コムギ菌とカモジグサ菌への感染の程度に多様性がなかったため、関連解析を実施するのに十分なデータを得ることができなかった。RNA抽出法では、考えていた以上に菌側由来のRNA量が少ないために、RNA抽出法を検討する必要がでてしまった。そのため、当初予定したよりもライブラリー作成までの時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
RNAシーケンシングライブラリーが完成後、ただちにRNAシーケンシングを実施し、候補遺伝子を絞り込む。バックアップ実験として、1つの非病原力遺伝子をもつF1菌系に紫外線を照射し、非病原力遺伝子を破壊した変異体を同定する。当初、EMSを変異源に使う予定であったが、扱い易さから紫外線に変更する。計画通り、親菌系とF1集団46菌系のエフェクター候補遺伝子のアンプリコンシーケンシグ を実施する。ただし、候補遺伝子数が少ない場合は、アンプリコンシーケンシグ法にこだわらず、PCR法も検討する。 また、 得られた候補遺伝子 について、バクテリアのタイプⅢ分泌タンパク質の系(Sharma et al. 2013)を利用して、非病原力エフェクター遺伝子であることを確かめる予定であったが、コムギに感染するいもち病菌に候補遺伝子を形質転換し、形質転換コムギいもち病菌を利用して非病原力エフェクター遺伝子であるかを評価する方法に変更する。
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Research Products
(1 results)