2014 Fiscal Year Annual Research Report
海洋ウイルス遺伝資源化計画:海洋RNAウイルスの探索手法確立と多様性・機能の解明
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26892031
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
浦山 俊一 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋生命理工学研究開発センター, ポストドクトラル研究員 (50736220)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | ウイルス / 海洋 / RNA / dsRNA / メタゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、海洋に存在する膨大かつ多様なウイルスを新たな遺伝資源として利用することを目指したものである。平成26年度は、海洋環境サンプルからの効率的なRNAウイルス探索手法の検討と、確立した手法を用いた海洋試料からのRNAウイルス探索の実施を目標とした。 長鎖の2本鎖RNA(以下dsRNA)はウイルスのみが有する核酸種であり、本分子を指標とすることでウイルスの効率的な探索が可能となる。しかし、既報の手法はdsRNA分子の全長配列を決定できないものや、特定鎖長以下のdsRNA分子のみを対象としたものであった。そこで、本研究では全てのdsRNA分子の全長配列を取得可能な手法を確立した。本手法の有用性を確かめるため、既知のdsRNAウイルスを含む生物試料より全核酸を抽出後、dsRNAを精製し、新たに開発した手法を用いてcDNAライブラリーを作製した。Miseqを用いて当該ライブラリー中のウイルス配列を解析した結果、ウイルスの全長ゲノム配列が得られることが明らかになった。また、9割以上の配列がウイルスに由来することも明らかになり、ウイルス由来配列が3割以下であった従来手法と比較して、高いdsRNA特異性を有することも明らかになった。 実際に本手法を用い、海洋試料よりRNAウイルスを探索した。その結果、複数の全長RNAウイルス配列が得られた。今後、得られたRNAウイルスに関して系統解析等を行い、海洋環境に存在するRNAウイルスの概要を明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究目標としたRNAウイルス探索技術の確立及び海洋試料からのRNAウイルス探索を達成したため、概ね順調と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は海洋試料より得られたRNAウイルスの解析を行い、それらRNAウイルスがどのような環境で、どの程度存在するのかといった基礎的な情報を得たい。ここで得た情報を基に、有用遺伝子探索系の構築を目指す。
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