2014 Fiscal Year Annual Research Report
児のADHD発症と胎児期受動喫煙との遺伝-環境交互作用の解明
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26893002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 澄貴 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 研究員 (10733371)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 社会医学 / 疫学 / 公衆衛生学 / 受動喫煙 / 遺伝環境交互作用 / 妊婦 / ADHD / 注意欠損多動性障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 胎児期の母の受動喫煙が児の注意欠損・多動性障害(ADHD)発症に及ぼす影響を解明するために、出生前向きコーホート研究「環境と子どもの健康に関する北海道スタディ(研究代表者:岸玲子)」の母児を対象に現在進行中である。 2. 胎児期の母の受動喫煙曝露状況は、妊娠後期の母体血漿コチニン値でROC曲線を使って分類した。その結果、非喫煙群は0.21 ng/mL以下、受動喫煙群は0.22-11.48 ng/mL、喫煙群は11.49 ng/mL以上となった。 3. 胎児期の母の受動喫煙が児の出生時体格に及ぼす影響を事前検討した。非喫煙群と比較して、受動喫煙群の児の出生体重は35gの減少(P=0.048)、出生頭囲は0.15cmの減少を示した(P = 0.047)。脳容積や脳発育の指標である出生頭囲で、非喫煙群と比較して、受動喫煙群の児は有意な減少を示し、出生以降にも脳発育に影響を及ぼす可能性が示唆された。 4. 追跡調査として8歳児のADHD認知機能検査(WISC-III)、ADHD関連症状の検査(ADHD-RS)は現在継続中である。平成26年8月までに2545名の対象者がADHD-RSに回答した。このうち、ADHD疑い症例群は138名であった。138名のうち、ADHD分類不明が42名、ADHD多動型が26名、ADHD衝動型が64名、ADHD混合型が6名であった(重複を含む)。 5. ADHD疑い症例群138名と症例群272名の出産時の母体血と臍帯血を使ってDNAを抽出した。出産時母体血DNAと臍帯血DNAの化学物質代謝関連(AHR、CYP1A1など)や神経伝達関連(DRD4、BDNFなど)の遺伝子多型はフリューダイム社製マイクロフリューディックEP1システムを使って現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に必要なデータと生体試料の提供を受け、現在、遺伝子解析を進めている。並行して、8歳児の追跡調査も現在継続中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で得られているADHD疑い症例群と対照群の遺伝子解析を先に進める。さらに胎児期の母の受動喫煙と化学物質代謝および神経伝達関連遺伝子との遺伝環境交互作用の統計解析も進めていく予定である。そして児のADHD発症への遺伝的な高リスク群の検出を含めたリスク評価と、高リスク群の予防対策の検討を実施する予定である。
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Research Products
(7 results)