2014 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素遺伝子応答イメージングによる癌治療抵抗性の獲得メカニズムの解明
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26893005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
竹内 康人 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 研究員 (10735187)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 低酸素 / 悪性腫瘍 / レポーター遺伝子 / 治療抵抗性 / SPECT / PET / 分子イメージング / 動物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性腫瘍内の低酸素遺伝子応答イメージングを可能にする担癌モデルマウスの評価を行った。検討項目としては、以下の2点を調べた。①酸素濃度依存的にレポーター遺伝子であるNIS(sodium iodine symporter)が発現しているかどうか、②酸素濃度依存的にトレーサーであるI-124あるいは99mTcO4-の腫瘍への取り込みを認めるかどうかである。異なる3つの酸素条件で、マウスを飼育したのちに、トレーサーを投与し、PETあるいはSPECTイメージングを行った。NISの発現は、撮像後にマウスから摘出した腫瘍の免疫組織染色を行い、腫瘍面積に占めるNIS陽性細胞の割合を算出して評価した。I-124あるいは99mTcO4-の腫瘍への取り込み量は、腫瘍のSUVmaxで評価した。 SPECTイメージングの結果、99mTcO4-集積(SUV)は、低酸素負荷群(10%)正常酸素群(20%)に対して有意に高値を示した(2.3±0.7 vs 1.2±0.2, p = 0.003)。PETイメージングの結果、I-124集積(SUV)は、低酸素負荷群(10%)正常酸素群(20%)に対して有意に高値を示した(8.4±1.4 vs 5.1±0.7, p = 0.045)。また両トレーサーの腫瘍集積(SUVmax)は、酸素濃度の低下に伴って増加を認めた。NISによる摘出腫瘍の免疫組織染色の結果、NIS陽性細胞の割合は、1.6±0.8%(酸素濃度80%)、2.6±1.0%(酸素濃度20%)、6.1±2.0%(酸素濃度10%)であり、酸素濃度の低下に伴って増加を示した。また、腫瘍内の低酸素状態をPimonidazole染色で確認したところ、Pimonidazole陽性細胞の割合は、1.9±1.3%(酸素濃度80%)、3.5±1.3%(酸素濃度20%)、8.2±1.8%(酸素濃度10%)であり、NIS陽性細胞の割合と同様に、酸素濃度の低下に伴って増加を示した。以上の結果から、樹立した担癌マウスは酸素濃度依存的にNISを発現し、I-124あるいは99mTcO4-の腫瘍への取り込まれたことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展しており、ほぼ当初の計画通り順調に研究課題が達成されている。樹立した担癌モデルマウスの評価が、平成26年度の主な計画であり、予定通り評価を終えた。摘出腫瘍の病理学的評価も、ほぼ予定通り完遂した。NISとPimonidazole陽性細胞の腫瘍内分布に関しては、来年度も引き続き継続していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り研究課題を遂行しながら、着実に成果発表していく。今後は、NISとPimonidazole陽性細胞の腫瘍内分布に加えて、当初の計画通りに進めていく。腫瘍内分布の評価に関しては、摘出腫瘍のEx vivo dual autoraduigraphyによる手法を行うことで、評価する予定である。
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Research Products
(1 results)