2014 Fiscal Year Annual Research Report
唾液メタボローム解析と口腔細菌叢ゲノミクス解析による口腔粘膜炎発症メカニズム解明
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26893024
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐久間 陽子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (90735531)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 頭頸部がん / 放射線治療 / 化学療法 / 口腔粘膜炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部がん患者の放射線治療および化学療法時生じる有害事象において最も多く発症するのが激烈な痛みを生じる口腔粘膜炎であるが、その対処法は未だ確立されていない。本研究では頭頸部がん患者の口腔機能管理を向上させることで、治療中後に口腔粘膜炎に悩むことなく、本来の治療目的を達成することが可能となり患者のQOLの向上を目的としている。 H26年度(4月~1月)東北大学歯学研究科周術期支援外来を受診した患者のうち、本研究代表者が担当した患者、全140名のうちがん患者は53%であり、放射線、化学療法あるいは手術のいずれかの加療を受けた患者は36%であった。このうち、放射線治療を受けた患者のほとんどが口腔粘膜炎を生じ、その程度が重度となったため化学療法が延期する要因となった症例も認められた。一方で、化学療法のみの患者では放射線治療患者と比較し、その発症率及び程度に個人差があったことを報告する。 以上よりがん治療時に生じた有害事象により治療延期や中断が生じることなく遂行する為にもがん患者の口腔機能管理の必要性が示され、また、がん治療による有害事象が様々な要因の結果として生じていることが示唆された。さらに本研究機関は医科歯科連携を強化する為、周術期支援センターをH27年度4月に立ち上げており、医科入院加療前、あるいは加療中、後から歯科受診および歯科治療を受ける患者が増えることが予測される。これにより一層本研究の意義及び重要性が増すと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H26年度(4月~1月)東北大学歯学研究科周術期支援外来を受診した患者のうち、本研究代表者が担当した患者におけるがん患者の割合が示され、またそのうち放射線療法や化学療法、外科手術を予定する患者の治療前、並びに治療中、後の患者の口腔粘膜の状態を診察、唾液量の測定等を実施した。しかしながら、その対象患者数は不十分であり、詳細な唾液の質の変化や口腔内細菌叢の構成を明らかにする段階には至らなかったため、本研究課題の当初研究目的の達成度がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究機関は、新たに周術期支援センターをH27年度4月に開設しており、がん治療を含む医科における加療前、あるいは加療中、後における歯科受診がより患者に負担が少ない状態で可能な体制を整えた。これにより今後本研究の対象となる患者数は増えると予測され、本研究を推進する。また、次の段階として唾液の質、および口腔内細菌叢の構成を明らかにするための資料を採取予定である。
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