2014 Fiscal Year Annual Research Report
デコリンを用いたS-1術前補助化学療法の新規効果予測法の開発
Project/Area Number |
26893039
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中嶋 大 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50431747)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | Decorin / 口腔扁平上皮癌 / S-1 / AKT 経路 / 術前補助的化学療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究に先立ち、S-1を用いた術前補助的化学療法(S-1 NAC)の効果とデコリン(DCN)の発現量との間に、強い相関関係を確認している。本研究では、そのメカニズムを詳細に検討し、S-1 NACの効果予測法を開発することを目的としている。具体的には、「細胞株およびマウスモデルで検証されたDCN減弱によるS-1の効果増強のメカニズムの解明」と、「頭頸部癌の生検組織中のDCN発現を検討することでのS-1 NACの効果予測開発」である。以下の結果を得た。1)DCNの発現減弱によりS-1の感受性が高くなるメカニズムの解析を行った。他の薬剤耐性に関与している酵素やトランスポーター等の発現は、DCN発現減弱口腔癌細胞株(shDCN株)では変化が見られなかった。そこでDCNが直接細胞内シグナルに作用するのではないかと仮定し、細胞シグナル伝達因子を調査したところ、shDCN株では抗癌剤に曝露後、AKTのリン酸化が有意に変化していることが明らかになった。2)AKTのリン酸化の変化をshDCN株由来のマウスxenograftを用いて発現を解析し、1)と同様の結果を得た。3)口腔癌の病理組織診断時の生検材料におけるDCNの発現を免疫組織染色法(IHC)にて解析した。その結果、細胞膜や細胞外基質にDCNが多く発現していることが確認できた。4)S-1 NACを施行した口腔癌患者の生検材料におけるDCNの発現強度をIHCスコアリング法にて評価した。S-1奏効群(CR群)に比べ、非奏効群(SD/PD群)においてDCNの有意な発現増強を認めた。 今後、臨床検体におけるDCNの発現量とS-1治療効果との相関関係をさらに詳細に検討し、抗癌剤効果予測法として確立する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた研究計画には十分到達することができた。本年度は、口腔癌の病理組織診断時の生検材料におけるDCNの発現を免疫組織染色法にて解析し、その結果、細胞膜や細胞外基質にDCNが多く発現していることが確認できた。S-1 NACを施行した口腔癌患者の生検材料におけるDCNの発現強度をIHCスコアリング法にて評価した。S-1奏効群(CR群)に比べ、非奏効群(SD/PD群)においてDCNの有意な発現増強を認めた。これまでの研究成果は、次年度以降の研究計画に大きく寄与できる内容であり、本年度の実績としては順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度においても、平成26年度同様に臨床検体におけるDCNの発現量を解析し、S-1治療効果との相関関係を確認していく予定である。
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