2014 Fiscal Year Annual Research Report
膜脂質環境におけるメチル水銀応答分子の同定および機能解析
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26893043
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
高根沢 康一 北里大学, 薬学部, 講師 (90345257)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | メチル水銀 / 膜脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
メチル水銀は中枢神経障害を引き起こす有害物質であり、魚介類に多く含まれる。一方、魚介類にはエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)といった高度不飽和脂肪酸(PUFA)が多く含まれる。魚介類摂取はメチル水銀の体内蓄積というリスクとPUFA摂取のベネフィットという二つの面がある。本研究は同時に取り込まれたPUFAがメチル水銀細胞応答に対しどのような影響を及ぼすのかを明らかにすること、その分子機構の解明に迫るというものである。 平成26年度は、不飽和脂肪酸を合成できないfat変異体のメチル水銀毒性添加による生育および生存の評価を行った。また、先行して哺乳類細胞を用いたメチル水銀応答分子の検討を行った。その結果、小胞体ストレスのマーカー分子群やオートファジーに関連する分子が発現変動することを見出した。さらに、このこれらの分子のいくつかはノックダウンによりメチル水銀に対する脆弱性を示した。これらの結果はメチル水銀の毒性軽減に大きく機能している分子であることを示唆しており、新たなメチル水銀応答機構の解明に繋がると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
哺乳類細胞におけるメチル水銀毒性に対する解析は当初の計画以上に進展している。線虫を用いたメチル水銀による発現変動分子の同定はやや遅れている。全体として本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
哺乳動物細胞を用いた解析から、メチル水銀に応答するいくつかの分子を見出した。今後はこれらの分子が高度不飽和脂肪酸によって受ける影響を中心に研究を進める。線虫の変異体を用いた系がやや遅れているので、今後はこれらを推進させると共に、哺乳動物細胞を用いた系においても網羅的な遺伝子解析を行い変動遺伝子を明らかにしていく。
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