2014 Fiscal Year Annual Research Report
伸展刺激が心臓線維芽細胞の分化に及ぼす効果に関する研究
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26893049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小尾 正太郎 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (10734452)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 機械的刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓における線維化は、線維芽細胞とその分化形態である筋線維芽細胞が化学的・機械的刺激に応答して産生する細胞外基質の過剰な蓄積に起因し、心不全、不整脈、心筋症などを誘発する。 今まで化学的刺激による線維芽細胞の活性化や分化に関して多くの報告はあるが、臨床的にはまだ十分な繊維化抑制効果は報告されていない。さらには、機械的刺激が線維芽細胞に及ぶす効果に関してはよくわかっていない。そこで今回、私が今まで取り組んできた機械的刺激である伸展張力が心臓の線維芽細胞の細胞活性と分化に及ぼす効果に関してTRPチャンネルによるカルシウム伝達機構を中心に検討する。 心筋細胞に伸展張力を負荷するとTRPV2あるいはTRPV4が活性化して細胞内へのカルシウム流入量が増大し、活性化されることが報告されている。そこで、心筋線維芽細胞もTRPV2あるいはTRPV4が細胞の活性化に関与しているかどうか検討した。ヒト心筋線維芽細胞を培養し、Fura2を用いて細胞内へのカルシウム流入の程度を検討したところ、TRPV2のagonistであるprobenecidを加えると細胞内へのカルシウム流入量が増大した。同様にTRPV4のagonistであるGSK1016790Aを加えると細胞内へのカルシウム流入量が増大した。一方、TRPV1のagonistであるcapsaicinを加えても変化なかった。このことは、ヒト心筋線維芽細胞が伸展張力に対してTRPV2あるいはTRPV4を介して細胞内にシグナルを伝達しうることを意味している。 今後は伸展張力による応答に関して検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
伸展張力装置の分しか予算がなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
心臓線維芽細胞に機械的刺激である伸展張力を定量的に負荷して、増殖、抗アポトーシス、遊走、コラーゲン産生といった細胞活性と分化に及ぼす効果に関してTRPチャンネルによるカルシウム伝達や転写機構を解明する。
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