2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26893055
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細川 玲(渡辺玲) 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60463866)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 皮膚免疫 / T細胞 / 皮膚居住T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はヒトにおける皮膚居住T細胞を研究するモデルを開発し、皮膚居住T細胞がどのようにして構築されるかを追究することを目的としている。平成26年度は、in vitroの系で、ケラチノサイト、線維芽細胞の培養シートとヒト血中T細胞を共培養し、共培養されたT細胞の細胞表面マーカーの変化を追跡した。その結果、ヒトT細胞がこれらの皮膚を構成する細胞と共培養されることにより、マウスで報告されている皮膚居住T細胞の表面マーカーであるCD103、CD69の発現を獲得することが示された。特にCD103は、T細胞がケラチノサイトと共培養された時に発現が増強すること、間接共培養より直接共培養で発現が増強すること、TGFβ中和抗体を共培養に加えるとCD103発現が減弱することが示された。これらの結果から、CD103はケラチノサイトとの直接接触とともにケラチノサイトが分泌するTGFβにより誘導されることが示唆された。CD69は、ケラチノサイト、線維芽細胞いずれとの共培養でも発現が増強されたが、ケラチノサイトとの直接接触で最も発現が増強することが判明した。特に、単離にトリプシンを有するほどにケラチノサイトに強く結合したT細胞では、非常に高率にCD69発現が見られることが分かった。同様の傾向は真皮の構成細胞である線維芽細胞との共培養でも確認された。よって、マウスで示されている皮膚居住T細胞の表面マーカーのいずれも、皮膚条件に近いヒトT細胞で誘導されること、CD103は特に表皮で誘導されうること、CD69はT細胞と皮膚細胞の接着が強固であるほど発現率が高まることが考えられ、ヒトT細胞が皮膚に移行してからこれらのマーカーを獲得し、皮膚居住T細胞として皮膚にとどまり皮膚免疫において重要な役割を担うようになると推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度研究計画に挙げた皮膚居住T細胞マーカーの獲得に関して、申請者はヒトにおいてもマウスと同様に、T細胞のCD103、CD69発現が皮膚構成細胞との接触により誘導されることを示すことができた。 さらに、特にCD103がケラチノサイトとの直接接触の下でTGFβ依存性に発現を誘導されること、CD69が皮膚構成細胞との強固な接着、直接作用により発現を誘導されることをin vitroの系で示すことができた。 これらの結果は、研究計画に沿って忠実に実験を進行させることにより予定通り蓄積することができたものであり、本年度の目標を十分に達成し、研究計画が妥当であったと結論付けることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究計画は順当に進行できたため、平成27年度の研究計画に関しても、当初に申請した計画通りに着手することが可能である。 申請者は既に平成27年度分の研究計画を進行できており、ヒトT細胞追跡マウスモデルより再現性のあるデータを得つつある。 今後も計画通りマウスモデルでのデータを蓄積していき、このマウスモデルで皮膚居住T細胞の存在や動態を具体的に証明していく方針である。
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