2014 Fiscal Year Annual Research Report
EGFレセプター二量体界面を標的としたプローブの創製と新規二量化阻害剤の探索
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26893061
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
水口 貴章 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (30732557)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | EGFレセプター / 二量化阻害 / 環状ペプチド / 蛍光プローブ / アラニン置換 / 抗がん薬 / 創薬研究 / 二量化アーム |
Outline of Annual Research Achievements |
EGFレセプターは、一般の細胞では増殖や分化など多くの重要な生命現象に関わっている一方で、多くのがん細胞で過剰発現しており、その無秩序な活性化が細胞の異常増殖に関係している。本研究では、EGFレセプターの活性化に必須のイベントである細胞外領域の二量化に着目した「二量化阻害」という新たな作用機序の抗EGFレセプター阻害薬リード創製を目的としている。本課題では、これまでの研究にて見出したEGFレセプター二量化阻害環状ぺプチド1の構造最適化を指向したツール開発として、EGFレセプターの二量体界面に結合する新規ケミカルプローブを創製することを目指している。 本年度は、環状ぺプチド1の蛍光標識化を目指し、まずはアミノ酸を一つずつアラニンに置換したペプチドを合成し、EGFレセプター二量化阻害試験および自己リン酸化阻害試験を実施した。これらの結果をもとに、阻害活性に及ぼす影響の少ないアミノ酸を推定することに成功した。これらアミノ酸を蛍光標識アミノ酸に置換した環状ペプチドを数種類合成した。蛍光標識環状ぺプチドをEGFレセプター発現型の上皮がん細胞に作用させたところ、細胞より観測できる蛍光量がペプチド濃度依存的に増加することが判明した。測定条件についてはさらなる検討が必要であるが、本蛍光標識ペプチドは、がん細胞表面EGFレセプターへの親和性を評価できる新たな蛍光プローブになる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度実施した環状ペプチドのアラニン置換体を利用した構造活性相関研究より、EGFレセプター二量化および自己リン酸化に対する阻害活性に与える影響の少ないアミノ酸部位を推定できた。また、本結果を考慮して合成した蛍光標識ペプチドを作用させたEGFレセプター発現型がん細胞より、ペプチド濃度依存的な蛍光量の変化を蛍光プレートリーダーにて定量することに成功した。これらの情報は本研究課題を達成するために、非常に有意義な結果だと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは昨年度に続き、がん細胞表面のEGFレセプターとの親和性を評価できる条件検討を進め、評価手法を決定する。本手法をもとに、種々に合成したペプチドや学内化合物ライブラリーの中から、EGFレセプターに親和性のある新たな化合物を探索する。うまく見出すことができれば、EGFレセプターの二量化阻害試験や自己リン酸化阻害試験を実施し、各種阻害活性の有無を調査する。 また同時に、光反応性ペプチドを用いて、環状ぺプチド1の結合部位の特定を目指す。結合部位が特定できれば、分子モデリング用のコンピュータソフトを利用し、より強力なEGFレセプター二量化阻害剤の精密設計・合成に着手する。
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Research Products
(1 results)