2014 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨・半月板再生医療の基盤開発を目指した滑膜間葉系幹細胞の局在解析
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26893066
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
水野 満 東京医科歯科大学, 再生医療研究センター, 特任研究員 (00733908)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 軟骨再生 / 間葉系幹細胞 / 滑膜幹細胞 / 変形性膝関節症 / 再生医療技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
変形性膝関節症に伴う半月板損傷や軟骨変性に対し優れた再生医療技術を開発することは、約850万人と推定される莫大な規模の患者に待望されている。また、変形性膝関節症に対する根治的治療には人工膝関節を用いるなど大きなコストを要することから、医療経済学的観点からもその開発ニーズが非常に高まっている。本研究課題では、滑膜に存在する間葉系幹細胞の局在部位を同定することで、滑膜幹細胞の生体内での機能を推測し、その分離方法開発を試みる。さらに、炎症状態などにおける滑膜幹細胞の動態を明らかにすることで病態整理学的な機能を推測する。昨年度は、マウス発生期から成熟後の幹細胞の局在を解析し、膝関節内の発生生物学から局在同定を試みた。さらに、本学附属病院整形外科から豊富に得られる手術検体を用い、ヒト滑膜における局在解析を開始した。マウスおよびヒトの滑膜組織の組織化学的および免疫組織化学的所見から同定したマーカーを用い純化した細胞の機能を解析したところ、特定の部位に存在する一部の細胞集団が他の集団に比して高い軟骨再生能を有することが示唆された。現在これらの内容を論文として作製している段階である。さらに昨年度に研究代表者が所属する研究チームは、これまで培ってきた技術を臨床的に応用するため、滑膜幹細胞の総合的な細胞操作技術を特許化した(特許 第5656183号:滑膜由来間葉幹細胞(MSCs)の軟骨・半月板再生への応用)。今回の研究により得られた知見と特許化した技術を統合することにより、将来的に莫大な社会的医療ニーズに応え、多くの患者へ適応を可能とする再生医療実現化へ向けた質の高い軟骨・半月板再生技術を確立できるものと大いに期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、本学動物センターの改修工事が行われ動物実験の開始が遅くなったものの、目標としていたデータを得ることができた。ヒト検体の解析は豊富な手術検体の提供により、多くの症例数を解析することができた。現在マウスおよびヒトの解析結果を統合した知見を基盤に再解析を実施している。昨年度に検討し確立した解析手法は本年度の解析においても強力なツールとなることが期待されることから、当初の目標達成に向けて概ね順調に進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究をさらに推進するために、細胞解析の消耗品費に使用予定である。培養液(DMEMやメチルセルロース培地)、純化した細胞の評価のための遺伝子発現解析試薬やFACS解析用蛍光標識モノクローナル抗体などの試薬に集中した経費を執行予定である。さらに、いままで得られている研究成果を国内や国外にて発表するため、学会参加費や交通費、論文投稿費などに使用する予定である。
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Research Products
(4 results)