2014 Fiscal Year Annual Research Report
Lipopolysaccharideによるアレルギー減弱機構の解明
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26893089
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
水野 夏実 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (40738621)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | lipopolysaccharide / アレルギー / 衛生仮説 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は衛生仮説に基づくアレルギー減弱モデルマウス、すなわち、lipopolysaccharide(LPS)をBALB/cマウスに前投与することで感染様刺激とし、続いてOVAを用いてアレルギー反応を惹起するモデルにおいて、骨髄由来樹状細胞(BMDC)の機能低下の可能性を見出した(学術誌への投稿準備中)。樹状細胞(DC)機能制御の詳細解明は病態解明への糸口、及び樹状細胞療法確立において欠かせない。また、今日、免疫寛容の臨床応用が期待されており、制御性T細胞(Treg)は最も注目されているツールの一つである。本研究では感染様刺激による (1) BMDC機能変化メカニズムを解明、及び (2) Treg誘導の関与について検討することを目的とする。 (1) 感染様刺激によるBMDC細胞表面分子の発現変動について検討した結果、DCマーカーであるCD11cに変化は認められなかった一方、CD80、CD86及びMHCⅡの発現が減少した。また、T細胞分化に影響を与える表面分子CD80、CD40、DEC205 及び33D1については影響は認められなかった。BMDC産生サイトカイン、TLR4発現についても有意な差は認められず、抗原刺激後の変化については詳細に検討したい。一方、腹腔マクロファージでは感染様刺激がLPS応答シグナルを減弱させた。本モデルでは腹腔内投与による抗原感作をしていることから、感作時における抗原取り込み細胞応答がBMDC機能に影響を与えている可能性を示唆している。 (2) BMDCにおいてIL-10 mRNAレベルは感染様刺激により増加する傾向が見られる一方、TGF-β1について影響は認められなかった。しかし、in vivoにおいて感染様刺激はアレルギー惹起部位におけるTregマーカー発現を増加させたことから、BMDCの抗原刺激時のTreg誘導シグナルについては検討課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究申請時の仮説を検証してきたが、有意な差が認められていないものが多い。2年目の計画において1年目の結果に基づき発展的な計画を立て申請している部分については研究計画を見直し、方向修正する必要がある。しかし、平成26年度中に新たな方向性(腹腔マクロファージでの検討)で良好な結果を得られたことから、今後の検討課題をすでに見出しており、本研究の目的の達成は十分に遂行可能だと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画(1)について、予測した影響が認められていない。しかし、新たに仮説を立て良好な結果が得られており、これを基に、より発展的に本研究の目的について検討していく予定である。 研究計画(2) (3)についてはおおむね順調に進行していることから、当初の計画通り研究を遂行したい。
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