2014 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症に対するプロパゲルマニウムの実用化を目指した橋渡し研究
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26893095
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
原 章規 金沢大学, 医学系, 特任准教授 (70507045)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | トランスレーショナルリサーチ / 糖尿病性腎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病性腎症の進展過程において、微小な炎症の関与が注目されている。この炎症に関与する分子群のうち、monocyte chemoattractant protein (MCP)-1/CCL2およびその受容体であるCCR2は、単球・マクロファージの腎臓への遊走・活性化に加え、腎固有細胞の機能調節にも重要な役割を果たしている。当研究室では、MCP-1/CCL2の腎臓病への関与とその阻害による腎臓病治療の可能性について基礎的検討を重ねてきた。 その成果を踏まえ、MCP-1/CCR2を標的分子とした糖尿病性腎症の治療薬開発に関する研究を進めてきた。本研究では、CCR2阻害作用を有するプロパゲルマニウムの糖尿病性腎症患者に対する安全性および有効性について探索的に検討するための臨床研究を行った。 今年度は、研究の倫理面およびデータの信頼性確保のための体制を確保するため、臨床研究に関する倫理指針を遵守し、院内外の関係部署と密接に連携し調整を行ってきた。試験薬については、当院薬剤部において適切に管理・保管し、症例登録・データマネジメントについては、当院先端医療開発センターに協力を得た。モニタリングについては、契約の上で、外部機関に委託した。GCPを参考とした本研究体制は、H27年度より適用される「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」にも対応しており、年度後半からの症例登録を開始することができた。開始後の定点観察時に採取・保存する血漿を用いたプロパゲルマニウム血中濃度測定については、外部測定機関と契約のうえで円滑に実施することができた。 試験開始後は、文書による同意書を得た後に、先端医療開発センターにて患者登録・無作為割り付けを実施した。プロパゲルマニウム群に割り付けられた患者2名については、目下のところ有害事象の発生はなく観察を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究体制を確保するために多くの時間を要した。学内においては、症例登録に必要な症例登録票確定に必要な先端医療開発センターとの打合せを行い、医師による患者登録票記入からFAXによる連絡ができるだけ円滑に進むように配慮した。同様に、症例報告書確定までにおいても、センターとの間で密に連携をとり調整を重ねた。学外機関との契約等では、試験薬プロパゲルマニウムの提供に関する製造販売元との契約と受入、データモニタリングの外部委託に係る契約ならびにプロパゲルマニウム血中濃度測定のための測定会社との契約にも時間を要した。 また、以上の研究体制が確保されたのちに患者登録を開始したところであるが、本研究における適格患者に該当する被験者候補者数が金沢大学附属病院単施設では多くなかった。そのため、本年度登録期間後半には、腎臓内科のほか代謝内科に通院・入院した患者も対象に本研究紹介を開始し、1例の症例登録をえた。 以上のように、研究開始までの体制確保および開始後の症例登録進捗の大きく2点が本年度の達成度がやや遅れた要因と考えられた。今年度におけるこうした状況を踏まえて、年度末に多施設共同体制としたところである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、従前の「臨床研究に関する倫理指針(平成20年7月31日)」の適用範囲であり、当該指針を遵守して実施してきたが、今年度より施行された「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を見据えて準備してきたため、この新指針にも対応している。今年度も引き続き新指針を遵守しつつ、研究を進める。 ○研究の進捗等管理:試験薬プロパゲルマニウムについては、当院の薬剤部において引き続き管理・保管し、プロパゲルマニウム投与群に該当する被験者に対し、その都度提供する体制を維持する。症例登録・データマネジメントおよびモニタリングについて、当院先端医療開発センターおよびH26年度に契約した外部機関において実施してきた現行の体制を維持する。症例登録票や症例報告書とともに手順書等の管理も本センターで行う。 ○症例の登録と観察:当院腎臓内科および関連施設における被験者確保に向けて、適格症例について登録が促進されるよう、腎臓内科スタッフおよび関連施設の医師等に対し、本研究に対する協力を引き続き呼びかける。今年度からは多施設共同体制とすることにより、関連施設においても症例登録、研究開始が可能な体制としたため、本年度の症例の登録・割り付けならびにデータのマネジメントについては、当院先端医療開発センターが行う中央管理体制とする。また、定点観察時に採取・保存する血漿を用いたプロパゲルマニウム血中濃度測定については、前年度に契約のうえ実施してきた外部測定機関に引き続き依頼する。 ○国内外における関連情報の収集等:学会等に参加することにより、糖尿病性腎症の研究動向について情報を引き続き収集するとともに、参加者との意見交換を行う。
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