2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26893098
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
波多野 都 金沢大学, 大学病院, 助教 (30557484)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2018-03-31
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Keywords | 聴覚中枢 / 神経発達期 / プログラム細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
聴覚では内耳レベル、また他の脳神経核においても神経発達期におけるプログラム細胞死が解明されている。しかし、聴覚中枢神経核においてはプログラム細胞死が起きているかは未だ不明である。ラットの聴覚は生後12日目に発生し、これはHearing onsetとよばれる。この時期に聴覚中枢の神経回路も完成することが知られ、回路形成にはプログラム細胞死の関与も考えられる。 正常発達期の聴覚中枢神経核におけるプログラム細胞死を検討するため、Hearing onset前後で経時的なラットの脳切片を作成し、プログラム細胞死の有無を検討している最中であるが、Onset直前にてTUNEL法でその存在が確認された。 また、Hearing onsetをなくした先天聾モデルラットを作成し、神経核の変化についても検討中である。先天聾モデルには片側性と両側性で作成可能であり、前者はHearing onset前の蝸牛破壊によって作成、後者は耳毒性のあるアミノグリコシド系抗菌薬の全身投与をHearing onset前からおこなうことで作成する。両側性先天聾モデルの蝸牛切片を作成したところ、蝸牛全回転で内耳有毛細胞の消失を確認しえた。 さらに、神経回路では抑制性と興奮性ニューロンのバランスが重要である。以前に片側先天聾モデルで、下位聴覚中枢神経核で抑制性ニューロンと関連するカルシウム結合タンパクの減少を報告したが、今回、興奮性ニューロン関連のVGLUT2の発現低下を確認しえた。この結果は、片側先天聾では下位聴覚中枢の役割で重要な音源定位に影響を及ぼすと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プログラム細胞死については一時期にその存在を確認できた。今後も継時的な変化の確認を継続しておこなっていく。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点でプログラム細胞死については一時期にその存在を確認できた。今後も継時的な変化の確認を継続しておこなっていくが、より低日齢の脳を用いるため、標本作成につき検討が必要である。また、プログラム細胞死でもオートファジーなどより詳細な検討もおこなっていく予定である。 また、聴性脳幹反応を用いた生理学的な検討を追加し、発達期のプログラム細胞死の時期との関連も追加して検討していく。
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