2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26893112
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 智子 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (40732681)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 卵胞発育制御 / 顆粒膜細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はLHRのエピジェネティックな発現制御機構を解明することを目的とした。予備実験にて認めたヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(TSA)とDNA脱メチル化剤(5-AzaC)によるLHRの発現上昇は、LHRプロモーター領域に何らかのエピジェネティックな作用が及んだ結果と考えられ、同プロモーター領域のヒストン修飾とDNAメチル化を解析した。 ヒストン修飾(アセチル化とメチル化)に関しては、HGrC1でのTSA添加による変化をクロマチン免疫沈降(ChIP assay)にて評価した。H3K14ac, H4K16ac, HeK9ac, H4K5ac, H4K12acのアセチル化抗体、H3K9me, H3K4meのメチル化抗体を用いて行った。H3K14ac, H4K16ac, H4K8ac, H3K9acにおいてアセチル化の上昇が見られた。特に、一般的にアセチル化によって遺伝子発現が促進されると報告されているH4K8acでは、4.3%からTSA添加により10.4%(%input)への大幅な上昇が見られた。 DNAメチル化に関しては、HGrC1でのTSA添加による変化を、培養細胞からgenomic DNAを回収し、bisulfite処理を行うことでヒトLHRプロモーター領域の13個のCpG配列におけるメチル化を調べた。HGrC1(49 colony)ではCpG配列の20.3%がメチル化されていた。TSA添加(33 colony)ではメチル化率は21.7%であり、TSA添加による差を認めなかった。 これらのことより、HGrC1においてTSA添加によって見られたLHRの発現上昇は、ヒストン修飾の変化、特にH4K8のアセチル化に由来する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題初年度で、ヒストン修飾評価およびDNAメチル化評価を行うための手技・実験系を確立できた。また、予備実験の結果を裏付けるような結果も得られ、概ね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
不死化細胞株HGrC1においては引き続き、5-AzaC添加によるLHR発現上昇とDNAメチル化変化の関係を調べる予定である。 また、体外受精の採卵の際に得られる黄体化顆粒膜細胞では、LHRはHGrC1の約1万倍高く発現している。黄体化顆粒膜細胞でのヒストン修飾およびDNAメチル化を調べ、HGrC1のパターンと照合することで、不死化細胞株での実験の妥当性を検証し、LHR発現のエピジェネティック制御機構に関するデータをより実際の生体内におけるものに近づける予定である。尚、体外受精を受ける患者から黄体化顆粒膜細胞を得るために必要な学内倫理委員会の承認は既に完了している。 更に、ラット卵巣内から、2次卵胞・成熟卵胞・黄体それぞれ、発育段階ごとの顆粒膜細胞を分けてlaser micro-dissectionにて採取し、各々の群においてヒストン修飾およびDNAメチル化を調べる。同一個体内の異なる発育段階を調べることによって、卵胞の発育によるLHR発現制御の経時的な変化を解明し、実際の生体内でのLHR発現制御機構の解明を探求する。
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