2015 Fiscal Year Annual Research Report
抗がん剤誘発末梢神経障害の発生・難治化における神経-シュワン細胞相互作用の関与
Project/Area Number |
26893118
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今井 哲司 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80468579)
|
Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
|
Keywords | 抗がん剤誘発発症神経障害 / シュワン細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、培養シュワン細胞に対するパクリタキセル(TXL)、シスプラチン(CDDP)、あるいはオキサリプラチン(L-OHP)処置の影響を検討した。新生児ラット坐骨神経から、抗p75 NTR抗体を用いたMACS細胞分離法により初代培養シュワン細胞を調製・精製し、forskolin/heregulin処置によりmyelin basic protein(MBP)陽性、p75陰性の成熟シュワン細胞に分化させた。TXL、CDDPあるいはL-OHPをシュワン細胞に48時間処置したところ、いずれも濃度依存的な細胞生存率の減少ならびにMBP発現低下が引き起こされた。CDDPあるいはL-OHP処置群では細胞形態に変化は認められなかったものの、MitoTracker染色やJC-1凝集蛍光の低下で示されるミトコンドリア障害が惹起された。一方、TXL処置群では樹状突起が消失し、MBP発現低下、p75発現増加で示されるシュワン細胞の脱分化が観察された。また、各薬物を洗浄除去後48時間培養したところ、CDDPあるいはL-OHP除去後も細胞障害、MBP発現低下が継続・進行したのに対し、TXL除去後は、樹状突起の再生およびMBP発現増加が認められ、シュワン細胞が再分化する様子が観察された。【考察】以上の結果より、白金系抗がん剤はシュワン細胞に対してミトコンドリア障害を誘導し、不可逆的な髄鞘障害による難治性の末梢神経障害との関連が考えられること、一方、TXLはシュワン細胞脱分化による髄鞘障害を引き起こすが可逆的で、タキサン系抗がん剤に認められる早期薬剤中止後の末梢神経障害の回復に、再分化したシュワン細胞が関与する可能性が考えられる。
|
Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|