2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26893125
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
八木 直美 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 特定研究員 (40731708)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 嚥下 / ソフトコンピューティング / ファジィ / 誤嚥性肺炎 / 機能評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
誤嚥性肺炎は咽頭、副鼻腔、歯周、口腔に常在する病原体が、嚥下障害のために唾液などの分泌物とともに気管に入り込んで、気道内に感染して引き起こされるが、臥位状態の嚥下信号は非常に弱く、嚥下検出できないという課題が生じている。現状、ベッド上に座位の状態でペットボトルの水を口に含み再び臥位になって飲み込んだ場合、嚥下識別率(=陽性的中度:TP/(FP+TP))は、約67%であった。嚥下活動の長時間無拘束モニタリング装置を開発したが、さらに精度を向上させた嚥下検出アルゴリズム開発が必要であることが判明し、本研究においてさらに高精度(同条件下で識別率90%以上)な嚥下検出アルゴリズム構築を目的として、嚥下障害診断・評価支援システムの開発を行っている。計測信号情報である音情報、呼吸情報についての個別の解析を実施し、嚥下抽出のための原理の確認を行った。音情報からは周波数解析により正常な嚥下であること判断し、呼吸情報からは誤嚥のリスクが高いとされる「吸息中の嚥下時」、「嚥下から次の吸息までの潜時」を抽出するために嚥下前後の呼気吸気を判別した。さらにソフトコンピューティング技術を駆使し、嚥下認識法、抽出法を明らかにするためにこれらの情報を組み合わせファジィ推論におけるシステム構築を行った結果、特異度(=TN/(TN+FP))84.75%の改善された良い評価が得られ、本手法が有効であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度では音情報と呼吸情報との組み合わせによるファジィ論理を用いた嚥下抽出アルゴリズムを構築することを目標としていた。その結果、パイロット試験において良好な結果が得られているので、このまま臨床データを組み込んでシステムを発展させていく。臨床データ取得および機能評価アルゴリズム構築に向けてのソフトウエアの開発がおおむね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度における試験を継続的に行う。嚥下呼吸状態および嚥下の回数、吸息相で起こる嚥下の割合、嚥下後吸息相が再開するまでの潜時の情報から誤嚥のリスク評価と睡眠時無呼吸の評価を同時に行う。さらに、被験者の背景や嚥下状態の関係を検討することにより、どういった場合に誤嚥が起こる可能性が高くなるのかを明らかにする。 いびき、発声、首振りなどのアーチファクトと嚥下を区別する。それによって、夜間の呼吸状態および嚥下の回数、吸息相で起こる嚥下の割合、嚥下後吸息相が再開するまでの潜時を検出できる。嚥下に伴う動きといびき、発声、首振りなどの信号を分離するために、平成26年度で得た技術、知識をもとにアルゴリズムを開発する。また、音の指向性についても検討する。
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