2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26893136
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
日山 智史 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄付講座助教 (10735335)
|
Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
|
Keywords | 腸内細菌 / パイエル板 / 炎症性腸疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
パイエル板内の共生細菌を解析するに際して、パイエル板の表面には多数の腸管管腔内の細菌が付着しており、解析に影響を与えると考えられる。そこで、野生型マウスのパイエル板を単離し、凍結切片を作成した。まず、パイエル板内の細菌の存在を確認するために、Eub338をプローベとして用いたFISH法を行うと、コントロールとして用いた心臓では陰性だったのに対し、パイエル板内に陽性領域を認め、パイエル板内の細菌の存在を確認した。 続いて10μmで作成したパイエル板の凍結切片より顕微鏡下にレーザーマイクロダイセクション法(LMD)にて上皮を除いたリンパ組織のみを回収し、同じパイエル板より作成した30切片を1検体とした。QIAamp DNA Micro Kitを用いてDNAを抽出したとところ、平均95.4ng/μl(n=9)抽出が可能であった。パイエル板、心臓(陰性コントロール)、糞便(陽性コントロール)を16S-rRNAプライマーを用いて定量的PCRを測定したところ、パイエル板のCt値の心臓と比し低い傾向を認めたが、糞便と比し有意に高値であった。以上よりパイエル板より回収可能な細菌は存在するものの菌量が少ないこと、心臓由来の検体からもPCR上細菌が検出されることより実験操作によるコンタミネーションが存在することが示唆された。 そこでパイエル板、心臓由来のPCR産物に対してメタゲノム解析を行い、存在する細菌のprofileを網羅的に解析することで、心臓に存在せずパイエル板に特異的に存在する細菌を同定する方針とした。現在、検査を複数回施行し、再現性のある菌種の同定を試みている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験の性質上、コンタミネーションを最低限にするかが非常に重要であり、そのための環境準備、主義熟練に時間を要した。
|
Strategy for Future Research Activity |
パイエル板組織をLMDにより回収し、次世代シークエンサーを用いた細菌由来ゲノム解析によりパイエル板共生細菌を同定し、同定された菌種について、特異的プライマーを用いた定量的PCR法により菌量を定量化する系を確立する。マウスに対しデキストラン硫酸塩(DSS)やインドメタシンの投与により、炎症性腸疾患類似腸炎やNSAID腸炎を作成の後、パイエル板内共生菌の変化に関して検討する予定である。 また、炎症性腸疾患患者およびNSAID腸管粘膜傷害患者より内視鏡下生検にてパイエル板組織を回収し、LMDにより得られた組織片に存在する細菌群を次世代シークエンサーを用いた細菌由来ゲノム解析により分析する。得られた細菌群のパターンと炎症性腸疾患患者やNSAID腸管粘膜傷害患者の臨床的背景(病型、活動性など)との関連を解析する。疾患との関連性が示唆される細菌について特異的プライマーを用いたPCR法により定量的に解析する。また、疾患活動性、内視鏡的活動性の変化と、関連が疑われた細菌量との相関を解析する。
|