2014 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞のTrophic因子が歯周組織に及ぼす影響
Project/Area Number |
26893144
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
沢田 啓吾 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (70733054)
|
Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
|
Keywords | 歯学 / 再生医学 / 間葉系幹細胞 / 歯周炎 / Trophic因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、間葉系幹細胞由来のTrophic因子が、歯周組織再生過程に及ぼす影響について検討を行っている。平成26年度の研究成果について以下に報告する。 まず、ヒト皮下脂肪組織を採取し、脂肪組織由来間葉系幹細胞(以下、ADSC)の単離を行った。ADSCを10%FCS含有D-MEMにて3日間培養し、培養上清を回収した。ADSC由来液性因子が歯根膜細胞の増殖能に与える影響について検討するために、歯根膜細胞の培養培地に回収したADSC培養上清を添加し、培養0、1、2、3、4日目の細胞数を計測した。その結果、ADSC培養上清の添加は、歯根膜細胞の増殖に顕著な影響を与えなかった。 次に、硬組織形成細胞への分化能に及ぼす影響を検討するために、ADSC培養上清存在下で、歯根膜細胞を石灰化誘導培地にて培養し、経時的な石灰化関連遺伝子の発現とアルカリフォスファターゼ(ALP)活性と石灰化ノジュール形成に及ぼす影響について解析を行った。その結果、ADSC培養上清添加群において、石灰化関連遺伝子発現の上昇とALP活性の上昇ならびに石灰化ノジュール形成亢進が認められた。以上の結果から、ADSC由来液性因子が歯根膜細胞の硬組織形成細胞への分化を促進することが明らかとなった。 一方で、間葉系幹細胞の培養上清に含まれる成長因子について解析を行った。すなわち、ADSC培養上清中に含まれる成長因子をHuman growth factor arrayにて解析した。その結果、ADSC培養上清中にIGFBP6、HGF、VEGFが含まれることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度には、間葉系幹細胞由来の液性因子が、歯根膜細胞の細胞機能に及ぼす影響について解析するとともに、同液性因子に含まれる成長因子のスクリーニングが完了したため、研究計画はおおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
ADSC由来液性因子が、歯根膜細胞の硬組織形成細胞への分化を促進的に制御していることが明らかとなったため、この作用にいかなる成長因子が関与しているのかを検討し、詳細なメカニズムを解明する。一方で、間葉系幹細胞由来エクソソームに含まれるmicroRNAにも着目し、歯周組織再生過程に及ぼす影響について検討を加える。
|