2014 Fiscal Year Annual Research Report
機能性モノマーの合成方法、純度が接着性、耐久性、歯質との化学反応性に及ぼす影響
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26893156
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉原 久美子 岡山大学, 大学病院, 助教 (90631581)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 機能性モノマー / 象牙質接着 / X線回折 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、歯質接着材料でよく用いられている機能性モノマー10-MDPの純度が、安定性、ハイドロキシアパタイトとの化学反応性を解析し、さらに接着強さ測定とナノレベルでの接着界面の観察を行うことにより、モノマーの合成方法、純度が接着強さ、耐久性に影響を及ぼすメカニズムを解明するものである。 入手可能な3社の10-MDP(10-MDP_KN:クラレノリタケデンタル、10-MDP_PCM:PCM,10-MDP_DMI:Designer Molecule Inc)を用い、液体NMRで分析を行った。その結果、10-MDP_PCM,10-MDP_DMIでは10-MDPのダイマーの存在が検出されたが10-MDP_KNでは検出されなかった。また、10-MDP_PCM,10-MDP_DMIでは、不純物の存在も確認された。 また、15w%10-MDP溶液を牛歯象牙質に塗布した時のX線回折測定では、低角側に観察される10-MDP_Ca塩の層状構造に由来するピーク強度が、10-MDP_KNでは非常に強いのに対し、10-MDP_PCM、10-MDP_DMIではそれほど強くなかった。また、10-MDP_DMIでは歯質と反応しなくても層状構造物の存在が確認され、EDS分析からそれがナトリウム塩であることが示唆された。 以上から、3種の10-MDPは純度が異なり、それにより、接着強さ、耐久性に大きく影響を及ぼしていることが示唆された。本研究成果は、2014年12月に神戸で行われた、接着歯学会で発表を行った。現在、Journal of Dental Researchに投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2年間で進める予定であったが、化学分析の結果が、これまでに得られていた接着試験、耐久性試験の結果を裏付けるものであった。また、2014年12月に学会で発表したことにより、多くの参加者から研究、実験に関するアドバイスをいただき、本研究成果をまず1本目の論文として投稿することができた。さらに研究を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)重合への影響 異なるメーカーの10-MDPが、重合へ及ぼす影響について、重合率、微小硬さを測定し解明する。 2)他のモノマーとの相互作用 ボンディング材は、機能性モノマーだけでなく他のモノマーが含まれているが、応募者は、象牙質やアパタイトの脱灰量や層状構造の形成などは、HEMAなどの他のモノマーの影響を受けることを報告した。10-MDPの合成方法、純度が異なる場合に、他のモノマーとの相互作用に影響があるのかを検討する。 さらに最近では、他の機能性モノマーGPDMや4-METなどが単独または10-MDPとの混合で用いられれていることが多く、その歯質接着性などを評価する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Impact of hydrophilicity and length of spacer chains on the bonding of functional monomers.2014
Author(s)
Feitosa VP, Sauro S, Ogliari FA, Ogliari AO, Yoshihara K, Zanchi CH, Correr-Sobrinho L, Sinhoreti MA, Correr AB, Watson TF, Van Meerbeek B.
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Journal Title
Dental Materials
Volume: 30
Pages: 317-323
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] In vitro long-term durability of composite resin2015
Author(s)
Kumiko YOSHIHARA, Noriyuki NAGAOKA, Yukinori MARUO, Goro NISHIGAWA, Yasuhiro YOSHIDA, Bart VAN MEERBEEK
Organizer
The 6th International Congress on Adhesive Dentistry
Place of Presentation
Faculty of Dentistry, Mahidol University、Bangkok, Thailand
Year and Date
2015-01-31
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