2014 Fiscal Year Annual Research Report
Rab14とCCN2の相互作用が骨・軟骨の細胞に与える新たな機能の解明
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26893161
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
星島 光博 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30736567)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 骨組織 / 軟骨組織 / 細胞内輸送 / Rab14 / CCN2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では小胞の細胞内輸送を制御する因子Rab14と軟骨分化促進因子CCN2について、これらの分子間相互作用が骨、軟骨の細胞に与える新たな機能と作用機構の解明を目的とする。申請者は予備実験において、軟骨分化促進因子CCN2の結合因子としてRab14を同定し、各々が骨、軟骨で高い発現を示すことを明らかにした。そこで、今年度はRab14とCCN2がどのような結合様式を取り細胞内の小胞輸送を制御しているかを検証し、以下の結果を得た。 1. CCN2のフラグメントを含む発現ベクターとRab14の発現ベクターを、酵母内で共発現させ、レポータージーンによる制限培地での生育アッセイにて2つの因子の相互作用を評価した。Rab14はCCN2のIGFBPドメインを有するフラグメントとのみ相互作用したことから、CCN2とRab14はIGFBPドメインを介して結合することが示された。 2. COS7細胞内でGFP融合CCN2、Halo融合Rab14を異所性に発現させ、細胞内におけるCCN2とRab14の局在を調べたところ、CCN2とRab14が細胞内でドット状に染色され、共局在していた。 3. Rab14のconstitutive active formあるいはdominant negative formを作製し、COS7細胞中でCCN2と異所性に共発現させ、局在の変化を調べた。その結果、CCN2とRab14のconstitutive active formを発現させると、野生型と比較して、より細胞質全体に広がってドット状に共局在し、dominant negative formでは主に核周辺の領域に集積してドット状に共局在している傾向がみられた。 以上の結果より、Rab14はCCN2と相互作用することで小胞にassociateし、細胞質で小胞の輸送に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、①Rab14とCCN2がどのような結合様式を取り細胞内の小胞輸送を制御しているか、②Rab14とCCN2の相互作用が骨や軟骨の細胞または組織にどのような生理的作用与えるのかを検証することを目的としている。本年度では、Rab14がCCN2のIGFBPドメインに結合すること同定し、両者が細胞内で共局在することで小胞輸送を制御する可能性を示しており、上述の①の課題を明らかにしてきた。現在、これらの結果をもとにRab14とCCN2が軟骨細胞に及ぼす生理的な作用を検証しており、進行状況は概ね順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
I. Rab14とCCN2の結合が骨・軟骨組織の細胞に及ぼす生理作用について検討する。 骨・軟骨組織の細胞では、Rab14およびCCN2のmRNAが高レベルで発現しており、その生理作用にも何らかの影響が現れると予測される。そこで、骨芽細胞、軟骨細胞様の細胞株で、Rab14およびCCN2の発現を抑えることで、これらの細胞に生じる変化をコントロールと比較する。特に細胞内で小胞輸送の秩序が崩れ、輸送されなかった蛋白質が細胞内に蓄積する可能性があるため、小胞体やゴルジ体ストレスに関与する因子の発現レベルを解析する。さらに、骨・軟骨形成に関与する細胞は、基質蛋白を生産・分泌していることから、Rab14とCCN2の結合親和性や発現量をコントロールすることで、基質の分泌量がどのように変化するかを調べる。 また、Rab14とCCN2の相互作用を介して輸送される蛋白質として、分泌蛋白質以外にも細胞膜上の膜蛋白質が考えられる。受容体や接着因子などの膜蛋白質は、増殖、接着・遊走といった細胞の機能を調節している。Rab14とCCN2の相互作用が骨・軟骨組織の細胞に及ぼすこれらの機能への影響を、細胞の接着試験や増殖アッセイにより検討していく。 II. Rab14とCCN2の骨・軟骨組織の形成に及ぼす影響を検討する。 CCN2ノックアウトマウスおよびCCN2トランスジェニックマウスを用い、Rab14とCCN2の骨・軟骨組織の形成との関わりを検討する。これらのマウス由来の骨や軟骨組織切片で、Rab14とCCN2蛋白質の局在を組織レベルで検出すると共に、CCN2蛋白質の有無あるいは発現量の違いによるRab14蛋白質の挙動や分泌蛋白等の状態を組織レベルで調べる。これらの結果から、Rab14とCCN2が骨・軟骨組織の形成にどのように関与しているかを検証する。
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Research Products
(5 results)